斑尾高原の樹木

■木本類
ブ ナ ?・山毛欅(ブナ科・ブナ属)
北海道の渡島半島黒松内以南(以西)の本州〜九州に分布する落葉高木。
直径1.5m高さ30m程の巨木になる。
かつてブナは、「?」(木で無い)と言われ、日本ではその有用性が無い木として扱われた。昭和30年代、40年代を中心にパルプなどの原料として皆抜の憂き目を見たが、白神山地の清秋林道建設問題が契機となり、ブナの効用や森としての有用性が見直され、一気に関心が高まった樹木である。
ミズナラとともに冷温帯林を代表する樹種である。斑尾高原の袴岳には、僅かだが、まだ原生林が残されている。
ブナは、他の樹木に比べ、圧倒的に葉の量が多く、その落葉は厚い腐葉土層を形成する。特に水を好む木でもあり、天水を自身の根回りに多く溜め込むことから自然のダムとも言われ、近年その浄化能力と共にブナの森の治水能力が見直されている。
また農業との関わりでは、「一本の大木ではその年の水田一反歩の水を補う」と言われ、清冽な湧き水を出し続けているのである。
ブナの種子は、種子は殻斗(カクトウ)と呼ばれる堅いからに包まれ、中に2個の三角錐の実が入っている。ミネラル分が豊富で、アクもなく、そのままで食べられる。クマやノネズミを始め森の動物たちの好餌となる。
ブナの結実は、ノネズミとの長い戦いの歴史の結果、隔年結実になったと言うエピソードもあるくらいである。地球上の生物の「生きる」と言うことに対しての自然の中での激しい葛藤が繰り広げられていることが想像できる。
またブナの実は、山村の人々の救耕食料として成り年には大量収穫され、保管されていたようである。
5〜7年に一度隔年結実し、その間の年はほとんど結実しない。成り年は全国的に同調し、成る木と成らない木が混在することはない。 自然の神秘性である。
ブナには基本的に2種あるが、斑尾高原のものは、「シロブナ」と言われ木肌が白くて滑らかである。ゾウの足を思わせる色と形である。また、太平洋側には「クロブナ」と言われるイヌブナがある。
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ミズナラ 水楢(ブナ科・コナラ属、別名:オオナラ)
ミズナラは、ブナとともに冷温帯を代表する落葉高木。大きく成長し、樹高は30mに達する。ミズナラの材は木目が美しいので、高級家具材として、また火力の強い炭ができるのために薪炭材として重要である。
北海道のミズナラは、かつて「ジャパニーズオーク材」の名で主に樽材としてヨーロッパに輸出された時代もあった。
南樺太、南千島〜九州の冷温帯に分布し、ブナと混生したり、純群落を形成する。ブナよりもやや低海抜地にも生育し、やや分布は多い。ブナは遅霜に弱いので、晩霜の被害が発生しやすい尾根筋、特に朝日が当たる東側はミズナラが優勢となりやすい。どちらかといえば、立地条件の良い場所をブナが占領し、物理的環境の厳しい場所ではミズナラが優勢になる傾向がある。
樹皮は、淡い灰褐色で、薄くはがれるが、老木になると縦に深い割れ目が入る。
若枝ははじめ淡褐色の毛があるが、後に無毛。
葉は、互生。広倒卵形で、先はとがり縁には粗い鋸歯がある。若葉は両面有毛だが、やがて裏面のみ短毛と絹毛が残る。葉の形がコナラと似て区別しにくいものもあるが、葉柄がほとんどないこと、鋸歯が粗くて鋭いなどの点で区別できる。
花は、5〜6月葉の展開と同時に開花する。新枝の下部から、長さ6.5〜8cmの雄花序をたらし、上部の葉脈に1〜3個の雌花が付く。
果実は、堅果。長さ2〜3cmの長楕円形で、年内に熟す。
用途は、建築材、器具材、家具材、洋酒樽、きのこの原木
ウワミズザクラ(上溝桜)別名:波波迦(ははか)、金剛桜(こんごうざくら)
バラ科サクラ属の落葉高木で山野に自生し樹皮は紫褐色で、小枝は秋に脱落し、葉は楕円形で先がとがり、縁に鋭いぎざぎざがある。晩春、葉よりあとに、白色の小花を多数つけ、実は丸く、熟すと赤から黒紫に変わる。新潟地方ではつぼみや未熟なうちに実を塩漬けにして食べる「杏仁子(杏仁香)」(あんにんご)と名付け食用にしたり、若い果実(緑色の時)を果実酒にしたものを「あんにんご酒」と呼んで珍重される。名の由来は昔、材の上面に溝を彫り(和名ウワミズザクラの由来とされる)、亀甲で占うとき、この材を使ったところからといわれて
いる。またウワミズザクラの材はとても堅く、地方により金剛桜と呼んだり、鉈柄(なたづか)とか呼ばれ、版木、彫刻材、さらに樹皮は俗にいう樺細工に使われた。
キシリトール(ウィキペディア辞典より抜粋)
キシロースから合成される糖アルコールの一種で、天然の代用甘味料として知られている。
現在の日本では、ガムなどの甘味料として使われている。
カバノキから発見され、ギリシャ語から命名された。
北欧諸国では多用されている。
シラカンバ 白樺(カバノキ科、シラカンバ属)
落葉高木、直径50cm〜70cm、樹高20m程となる高原の代表的な樹である。
白樺の樹齢は永くはなく、せいぜい60年〜80年である。日当たりの良い明るい場所を好み、成長が早く、一代限りでブナなどの陰樹にとってかわられる。いわゆるパイオニアプランツの一つである。
カンバ類の樹皮は、油分を多く含み、燃えやすく松明などに利用されてきた。
また、白樺の樹液は、キシリトールを多く含み、人工甘味料や人間の表皮の保湿を促進する効用があることから化粧品にも利用されている。
材は、軽軟で器具材、家具材、彫刻材などに利用される他、樹皮は細工物に利用される。
ウダイカンバ 鵜松明樺(カバノキ科・カバノキ属、別名:マカンバ・サイハダカンバ)
落葉高木。北海道・本州(福井・岐阜以東)に分布し、樹皮の色がやや灰色がかっていて、水平の点線のような縞模様がある。また枝が落ちた跡はくっきりと黒く残る。横に剥がれた樹皮は乾くと丸くなってしまうが、燃やすととても火力が強く、焚き火などの種火になる。この皮を燃やして松明にして「鵜飼い」に使ったことからウダイカンバの名がついたともいわれている。 77
他のカバノキ(シラカンバ・ダケカンバ等)のなかでは最も大きく成長する種で、幹が1m以上高さ30m以上にもなるものもある。 78
葉は広い卵型でハート状になっていて先が尖り、ふちは長い針状のギザギザがある。果穂は総状で長く垂れ下がる。
斑尾にはシラカバダケカンバよりは少ないが見ることができる。カンバ3兄弟が揃っている。高原ホテルより旧豊田村方面に左折する角のグリーンベルト帯に2本確認することができる。森姫・森太郎のようにしてみたい。
ダケカンバ(カバノキ科・カバノキ属、別名:ソウシカンバ・草紙樺)
落葉高木、わが国の本州、中部地方以北から北海道、サハリン、カムチャッカ半島それに朝鮮半島に分布している。高山帯や寒冷地に生え、高さは10〜15メートルになり、大きいものでは30メートルに達するものもある。ただ森林限界や多雪地帯では、這うように枝を伸ばすこともある。
白樺にているが、より高所に植生する。樹皮は赤みを帯びた灰褐色で紙状にはがれる。5月〜6月ごろ、葉の展開と同時に花を咲かせ雌雄同株で、雄花序は長枝の先に下垂し、黄褐色で長さ5〜7センチで、雌花序は短枝の先に直立してつき長さ2〜3.5センチで翌年まで残る。葉は角状卵形〜広卵形で長さ5〜10センチ、 開花は雪解けに左右され、年によって1ヶ月も異なる。
白樺との見分け方は、白樺は樹皮が白色で果穂は垂れ下がり、葉にほとんど光沢がないのに対して ダケカンバは、樹皮が灰褐色で 果穂が上向きについており 葉にやや光沢がある。
ダケカンバの新葉が芽吹く頃の山を遠望すると、その辺りが青く見えることがある。高山ではある時期に山一面あるいはその一部が青みがかって見えるブルーマウンテン現象が起きる。ブルーマウンテン(青い山)は世界の各地に見られる。コーヒーにも「ブルーマウンテン」という豆があるが、この名をもつ本物のコーヒー豆はそうした現象を起こす山で栽培されるコーヒーから採るので、かく名づけられたのである。 山が青みがかるのは、葉が芽吹くとき一種の化学物質が空中に放出され、それが光の屈折を変えてしまうことによる。動くことができない植物は化学物質を上手に使っている。防虫などのためばかりで
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なく、情報伝達にもこれを使っていて、山一斉の開花や雌雄別株の開花期の調整などにもかかわっていることがわかりかけてきている。
ヤエガワカンバ 八重皮樺(カバノキ科・カバノキ属、別名:コオノオレ)準絶滅危惧種
落葉高木、樹径20cm〜40cm、樹高15m程になる。
表皮が幾重にも剥がれるようになっているところから名前が付いた。
斑尾高原には、のぞみ湖畔の飯山市指定木とスキー場付近の山中に数本のみが確認されている。斧で切るとオノが折れるほど堅い材質の樹である。
家具材や器具材に利用される。
リョウブ(令法)(リョウブ科 リョウブ属)(別名ハタツモリ・畑積)
リョウブ科・属、1科1属1種の樹木、落葉小高木(高さ8〜10m)
分布:北海道南部・本州・四国・九州
生育地:丘陵・山地の尾根・乾いた落葉樹林内に多い
樹皮:花褐色、古くなると不規則な薄片になって剥がれ落ち、斑模様になるので”サルスベリ”という別名の由来になっている。ナツツバキ(シャラノキ)にも似る。
花:7月〜9月枝先に縁状花序で小さな白花を円錐状に密に付ける
果実:朔果
用途:新芽を山菜として利用し、天ぷらやまぜご飯(リョウブメシ)にする。材は割れにくいので建築材・器具材・細工物に使う。
名の由来:日本では平安時代から救荒食糧として重要なもので、若葉を湯がいて乾燥させご飯に混ぜ、又は穀物の粉と一緒に団子にして食べる等に利用された。
十分に乾燥させると4〜5年は貯蔵が可能である
”令法”とは、田畑に植栽するために官令により、耕作面積に応じて割り出した作物を植え付ける量(別名のハタツモリ)リョウブの苗木の本数を法令により農家に対して強制的に植栽を義務づけた。すなわち当時の行政機関(お役所)が救荒食糧として備蓄を制度化して農家に義務づけたことによる。
また、若葉の採取と貯蔵とを命ずる官令が発せられた。
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現在「サルスベリ」(百日紅・中国原産)と呼んでいる樹木は、日本自生の樹木ではなく、熱帯原産の外来種(ミソハギ科・サルスベリ属)で庭木用として江戸時代に渡来した。
木肌が令法(リョウブ)と似ているため「サルスベリ」の名前を譲ってしまった。
クロモジ 黒文字(クスノキ科 クロモジ属)
岩手県以南の日本各地に生育する落葉低木。葉や樹皮に芳香があり和菓子などに添えられる高級爪楊枝の素材として有名。新枝は緑色、次第に黒褐色になり文字のような模様が見えることから黒文字の和名が付けられた。葉は被針形でクスノキ科に多い三行脈は目立たない。新葉は葉柄から葉の裏面に絹毛あるが成葉は無毛となる。花は4月頃葉の展開とほぼ同時に咲く。夏の終わりには枝先に次年の春に咲く花の蕾が付く。果実は秋に黒く熟す。
古くから小枝を束ね、浴槽に浮かべ芳香入浴剤として用いられた。また山中で焚き火をする時に黒文字と笹を加えて火を点けると雨の日でも消えないとの言い伝えがある。
ハンノキ 榛の木(カバノキ科・ハンノキ属)
落葉高木。高さ15m〜20m、胸高直径1mくらいになる。北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国東北部、シベリヤの温帯の湿地に分布する。
本州中部以北、北海道では所々に純林がみられる。水位の高い湿潤で肥沃な土壌を好み、河川流域、湖畔などの水湿地に群生する。成長は早い。
関東地方などの水田地帯では、刈り取った稲を乾燥させるため、ハンノキをはさ木(稲架木、稲木ともいう)として列植されている所もあり、農村風物詩になっている。 はさ木として用いたのは、水田化された湿地で本来最も典型的な樹木だったためである。ハンノキ−ヨシの群落は、世界の温帯以北の低湿地で最もポピュラーで典型的な群落である 早春葉に先だって、柄がついて垂れ下って、細長い円柱状で暗紫褐色の単性花をつける。尾状花序は前年秋から枝上に現われる。球果は秋に熟して暗褐色となり卵形で長さは2cm。葉は互生し、葉柄があり楕円形。長さ5〜10cm、下面の脈腋に綿毛がある。関東平野の田園では田圃の稲掛け用に利用する。 田山花袋の「田舎教師」に「ひょろ長い榛の片側並木が田圃の間にひとしきり長く続く」とある。北海道や東北地方の平坦な海岸の湿地にも榛林が広々と続いていることがある。
材は辺材多く白色で、心材黄色か暗褐色、加工は容易で建築材、船、器具、楽器の材料となる。古くから樹皮の汁と果実は染料にしている。やせ地でも根粒菌の力をかりてよく育つ。
シナノキ 科の木・級の木(シナノキ科・シナノキ属)
落葉高木、直径1m、高さ10〜20m程になる。
北海道・本州・九州に分布する落葉高木。樹高10m前後のものが多いように思うが、大きく成長して高木になり、20mを越すものもある。葉はゆがんだ心形で、左右不同。
シナノキは日本特産種だがシナノキ属(ボダイジュの仲間)は、ヨーロッパなど世界の冷温帯地域に広く分布している。
斑尾高原では見かけることが少ないが、同属の「ノジリボダイジュ」(シナノキとオオバボダイジュの交雑種)は多く植生する。特に沼ノ原湿原周辺の森には多い。
材は、軽くて軟らかい。木理は緻密で合板や箱、箸、建築器具などに利用される。
また、樹皮が強靱でロープ、布、酒・醤油の絞り袋などに使用されることから広義の「麻」(黄麻・ジュート)にも数えられている。アイヌの織物の主要な原料の1つであった。
花は6月から7月にかけて咲くが、大変良い香りがあり、ミツバチが良質の蜜を集める。
樹皮は、ハーブとしても利用される。
長野県には多く植生し、「シナノ(信濃)国」の命名の元となったと言われている。
また、同族の西洋シナノキは、「リンデンバウム」とも呼ばれ、昔からヨーロッパでは人々の生活に密着して大切にされて来た樹の一つであり、シューベルトの歌の一節にも現れる。
オオバボダイジュ 大葉菩提樹(シナノキ科・シナノキ属)
ノジリボダイジュ 野尻菩提樹(シナノキ科・シナノキ属)
オオバボダイジュは、落葉高木。高さは、通常6〜10m、大きいものでは25mになる。
本州中部から北海道に分布し、しばしばシナノキやカツラなどの落葉広葉樹と混生する。主に谷沿いの肥沃地に生育する。中部日本では裏日本に片寄って分布している。 葉は大きいハート形で、長さ10〜15センチ。葉柄は4〜7センチある。 81
また、ノジリボダイジュは、シナノキとオオバボダイジュの交雑種と見られ、樹形等はオオバボダイジュとほぼ同じであるが、葉の大きさがシナノキとオオバボダイジュの中間くらいで、葉裏は、粉白色を帯びる点が違う。
斑尾高原でも沼ノ原湿原中の小川に架かる橋のたもとにある木がノジリボダイジュであるとのことであるが、私の見たところでは、特徴的にオオバボダイジュではないかと思う。
また沼ノ原湿原の水路に沿った林縁にはオオバボダイジュが多く植生している。
ハウチワカエデ(羽団扇楓)(カエデ科 カエデ属)(別名メイゲツカエデ)
落葉高木、北海道、本州の温帯地域に植生する日本固有種。ブナ林帯に植生することが多い。開花時期は4〜5月。
葉の形を、鳥の羽で作った天狗のうちわに見立ててこの名がある。日本のモミジの中で一番葉が大きい。深山のブナ林の下や、山地の渓谷沿いなどに多い。春の芽吹き、秋の紅葉とも一級でモミジの代表。
花は5-6月の初めにかけて咲く。長い花柄から数センチの赤みを帯びた花柄を分け、雄花と両性花をつける(雄性同株)。
低山帯から亜高山の下部に生育するとされるが、分布の中心はブナ林域ではないか。
別名メイゲツカエデは「名月カエデ」の意で、秋の名月の光で落葉し、紅葉も見られるという意味であろうという。
北の山々に雪の便りが届く頃、山を彩るのがこのハウチワカエデ。朝夕に寒さが増すたびに赤く鮮やかに紅葉の山のアクセントとなる。
次の3つのカエデの葉形はよく似るので、その見分け方を覚えておくと良い。 82
ハウチワカエデ
・葉柄の長さが,葉身の2分の1以下
オオイタヤメイゲツ
・葉柄の長さが,葉身と同長または,3分の2で,無毛。
コハウチワカエデ
・葉柄の長さが,葉身と同長または,3分の2で,有毛。
オオカメノキ 大亀の木(スイカズラ科、ガマズミ属、別名:ムシカリ)
オオカメノキは北海道から九州に生育する落葉の小高木で樹高は3〜6m。ブナ帯から亜高山帯にかけて生育するが、これより低海抜地にも時折、見かける事がある。斑尾高原のほとんどのトレッキングトレイル内にも生育している。樹高は3〜6m、樹皮は暗灰褐色で、葉は対生で大きく、6〜20cmでほぼ円形。表面脈上に星状毛があるが、その他の部分は無毛。若い葉の裏面には、主脈や側脈とともに細い脈上にも星状毛があるが、やがて脱落するか、一部のみが残る。花は5月頃、白い花を咲かせ始め、比較的短期間で花を散らせてしまう。花序中心部の花は小さいが、周辺にある花は大きく、よく目立つ。周辺の花は装飾花とも呼ばれ、実を稔らせない不稔花である。果実は秋(8月〜10月)に実り、最初は赤く、後に黒く熟し、食べられる。
オオカメノキの和名は、「大神の木」であるとの説、葉が亀の甲羅に似ていることから「オオカメノキ」との説などがあるが、ガマズミの漢名である「キョウメイ」が「カメ」となり、大きなガマズミの意味で「オオカメノキ」になった説が説得力がある。別名はムシカリであり、「ムシクワレ」が転じてこの名になったと言う。確かに虫に食われた葉が多い。
類似種ヤブデマリとの相違点
ヤブデマリは、枝を水平に伸ばし、葉の基部が広いクサビ形から〜円形で、花序に枝がある。
一方オオカメノキは、枝が斜上し、葉の基部はハート形で、花序には枝がないことで区別が出来る。
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ヤマボウシ 山法師(ミズキ科・ヤマボウシ属)
排水や日照のやや良い山野に生える、落葉小高木(5〜10m程度)。葉は下降ぎみに対生し、卵型楕円形で先が尖り、赤みを帯びることが多いようだ。側脈は4〜5個で葉の縁に添うように曲がっている。樹皮は、帯黄紅褐色でほぼ平滑。横に側枝が伸長する。
初夏のころ、球形の頭状花序の集合花を咲かせるが、これは4枚の白色の総包片にかこまれている。中には、総包片が淡紅色のものもある。
秋には、赤い集合果を上向きにつける。
開花時期は、 5/15頃〜 6/15頃。]・「山法師」の名前は、中央の丸い花穂を坊主頭に、4枚の白い花びらを白い頭巾に見立て、比叡山延暦寺の「山法師」になぞらえた。
秋には実がイチゴのように赤く熟す。
花水木とよく似ているが、咲く時期が 花水木より1ヶ月ほど遅いのと、花の先端が とがっている(花水木は丸い)ことから区別できる。
液果は丸形で甘味があり、生食や果実酒によい。
英名ではジャパニーズ・ストロベリー・ツリーと呼ばれる。
ノリウツギ(ユキノシタ科・アジサイ属、別名:ノリノキ・サビタ)
落葉低木(2mから5m)で、樺太から九州まで広く分布する。
用途は、木釘等に使うほか幹の内皮を製紙用の糊とする。
開花期:7月・8月 、花の色:白色(白色系)
斑尾高原でも多く見受ける、秋に急激な寒さのため立ち枯れ状態(ドライフラワー状態)のノリウツギを見ることも出来る。 84
アジサイやガクアジサイは6−7月が花期であるが、ヤマアジサイ、アマチャ、タマアジサイ、などは花期が長く8月終わりでも咲いている。ノリウツギも7−8月に咲くアジサイ属の花で、沢山の小さな5弁の両性花と少しの装飾花からなる。
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ノリウツギの名前の由来は、むかし製紙用の糊をこの木の皮から採ったことにある。糊は内皮から採るが良質のものは白く、材の色も白くて美しい。別名をノリノキ、サビタ(北海道・東北)といい山地などに生える。
枝の髄(ずい)を抜くと空洞ができるので「ウツギ(空木)」の名がついた。
「のり」は、樹皮の内皮をはいで水につけて 粘液を出させて、和紙を漉(す)くときの の糊として使ったことからこの名がある。
和紙は、楮 (こうぞ)を原料にして作られるが、この糊ウツギで作った糊(のり)を混ぜることで 漉(す)いた紙同士がくっつかなくなる。和紙に使う糊にはトロロアオイの根もよく使われるが、糊ウツギの方が腐りにくい性質がある。
カラマツ 唐松・落葉松(カラマツ科・カラマツ属、別名:富士松)
日本の松類の中で落葉するのはカラマツだけで、「落葉松」と書く。
花期3月で実は、長さ2〜3.5mmの広卵形の球果。
産地の天然分布は、本州中部から北部であり、別名「富士松」と呼ばれるように富士山や日光、浅間山、八ヶ岳などの天然林が知られている。
明治の中頃から北海道に移入され、最も主要な人工植栽樹になっている。幹高は20〜30mで高いものは50mにもなる。
材の性質は、針葉樹の中では重硬で、耐久性、耐湿性に優れるが、割れやすい。また加工性は良いが、仕上げ面は粗い。樹脂が多く年数を経ると樹脂が染み出て赤味がかる。材の質としては良くないが成長が早いのでよく植林される。
用途は、家屋の土台や電柱・鉄道枕木・屋根板・船舶に用いられ、樹皮はタンニンを含み染料にする。
長野県では山林の半分がカラマツと言われ、厳しい気候風土に耐え育ち、高い強度を持つことから丸太杭等の土木建材として用いられることが多い。ねじれやヤニ等の問題から、建設用材としては限られていたが、脱脂乾燥技術の開発で赤味の美しい内装用材として使われるようになっている。斑尾高原の中心付近のカラマツは昭和20年代に植林されたもので、湿原東トレイルでは天然の大樹も見られる。「まだらお高原 山の家」の建築材にも長野県産のカラマツの修正材が多く使われている。
トチノキ 栃の木(トチノキ科・トチノキ属)
おもに冷温帯域の山地に生育する落葉高木。(高さ25m。直径2mにもなる)、雌雄異株、葉は、5〜7枚、低山地帯の谷筋や山腹の水分の多い肥沃な土地を好む。
葉は大きく、天狗の団扇(うちわ)のようである。
種子は栃の実として渋抜きして食用になる。渋抜きはミズナラなどのドングリよりも高度な技術が必要で手間がかかるが、かつては米がほとんど取れない山村ではヒエやドングリと共に主食の大きな一角を成した。
苦みの成分は非水溶性のサポニンとアロイン。
木材として家具などの材料となる。巨木になるものが多いので、くり抜いて臼を作るのにも使われる。
花はミツバチが好んで吸蜜に訪れ、養蜂の蜜源植物としても重要である。
またトチノキは、薬としても有用である。春4月頃、葉の若芽の粘液をそのまま利用する。樹皮は夏に採取し、種子は秋に採取、いづれも日干しにする。
これを、生薬の七葉樹(しちようじゅ・葉の若芽、樹皮、種子)という。
街路樹などにも用いられ、パリの「マロニエ」の並木は有名だが、このマロニエ(西洋トチノキ)は、トチの兄弟である。トチノキは、木目が美しく材がやや軟質で加工しやすく、そばのこね鉢や臼、家具、バイオリンの裏甲板などに用いられる。
花は、5月〜6月頃に咲く。1.5cm位の白い花が、長さ15〜20cmの軸に円錐状(トンガリコーン状)に付く。実は、秋10月頃熟し、直径3〜4cmほどの丸い栗の様な形状をしている。
また、中国ではトチを「七葉樹(ひちようじゅ)」と言い、生薬として若芽や樹皮、種子を用いている。また、広く世界で薬として用いられている。日本では寄生性皮膚炎・たむし・下痢止め・しもやけなどを治す漢方として使われている。
〇トチノキとスギタニルリシジミチョウ
このチョウは、トチノキ以外からは離れず、産卵をトチの花穂に行い、トチノキの根回り近くでさなぎになり、また春に羽化してチョウとなる。
春(4〜5月)だけに見られるギフチョウと同じ、スプリングエフェメラル(春のはかない命)の一種である。 86
〇トチノキのハチミツ
トチのハチミツは、レンゲ等に比べより薫り高く、粘り気が強く、黄金色がいっそう鮮やであり、最上級の蜂蜜とされている。
以上から想像できることは、やはり木と自然はすごいと言う事である。
二酸化炭素がトチノキになり、花になり、やがて密になってミツバチの体の中を通って蜂の巣に変身し、それがやがて炎を灯すロウソクにもなるのだ。
ミツバチの巣で作ったロウソクは、ススの少ない、やや赤い炎の高級なロウソクだそうだ。
キハダ(ミカン科・キハダ属)
山鳩の尾羽の時雨や黄檗(きはだ)の木(紫泉)
落葉高木・雌雄異株。幹は直立し高さ25m、直径1mに達する。北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国北東部、ソ連アムール地方に分布する。材は建築材、家具、器具材に使われる。
キハダの内皮の乾燥したものをオウバクという。苦味のある健胃整腸薬である。オウバク(黄檗・黄柏)は強い抗菌性をもつベルベリンなどのアルカロイドを含んでおり、大変苦く、古来胃腸薬として有名である。
また、キハダの内皮は漢方薬として利用するだけでなく、黄色染料として、飛鳥時代から用いられている。中国で服色として地位の高い黄色にオウバクを用いたのにならったものである。他に寄せ木細工の黄色としてキハダの材、また和紙にオウバクの黄色をそめ、虫除けとしても用いられる。
樹皮は黄褐色でコルク層がよく発達している。秋には葉が黄葉する。日本名のキハダは黄膚の意味である。奈良県吉野産の陀羅尼助はキハダの樹皮、黄柏を水で浸出し、その水を蒸発してつくった乾燥エキスである。古来健胃整腸薬として庶民の健康に役だってきたが、この葉はたいへん苦いので、その昔僧侶が「陀羅尼」を誦する時、眠気ざましに口に含んだのがその由来だという。キハダの樹皮をはぐのは7月中旬〜8月上旬。外側のコルク層を除いて黄柏をとる。
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山陰地方や北陸地方では煉熊、長野県ではお百草といって同様のものを作っている。6月には枝先に黄色の細かい花を円錐花序につけ、10月に黒色に熟する。
ナナカマド 七竈(バラ科・ナナカマド属)
落葉高木で高さは、6〜15mになり、北海道から九州の山地に植生する。
葉は、奇数羽状複葉で、小さな葉がたくさん付く。
斑尾高原でも至る所で見ることの出来るポピュラーな木である。
7回も竈に入れても焼け残るという程、材が燃えにくいので付いた名前である。
収穫の秋、鳥達は競うように木々がもたらした山の幸で一冬を乗り越えるための栄養を蓄える。しかし、ナナカマドの赤い実は食べられることは少ない。きっと美味しくないのであろう。木々の枯れ葉がすべて落ちて、ナナカマドの熟れた実だけが残っている。厳しい冬も本番となると鳥達にもいよいよ食べるものがなくなってしまう。残されたものはナナカマドの実だけになってしまう。鳥達はナナカマドの小枝に止まり(まずそうな顔で?)実をついばみ、皮とタネを地面に返えす。春がおとずれとともにナナカマドの若芽が吹くのである。
イタヤカエデ 板屋楓(カエデ科・カエデ属・イタヤカエデ変種)日本固有の樹木
落葉高木。幹は直立。高さ15〜20m、直径1m位になる。
秋の黄葉が美しく、斑尾高原には大木になったイタヤカエデが多く植生する。
雌雄同株。ひとつの花序に雄花と両性花が混生する。4〜5月頃に黄緑色の花を円錐形につける。
用途は、床板、家具、ピアノ、スキー、ラケット、こけし等で大変粘りのある木肌の美しい木である。
名前の由来 葉が良く茂り、板屋根のように雨が漏らないと言うことによるのもと、鉄のない時代に石を割るクサビに、粘りがあって割れにくいこの木が使われ、そのクサビのことを「イタヤ」と呼んだのでこの名が付いたと言う説がある。私的には後説を支持したい。
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カエデ属はカエルの手のような形状の葉が特徴でイタヤカエデの芽吹きは早い。冬芽からのびでたばかりの葉は赤褐色で何か枯れたような感じもする。
種は、モミジ・カエデ類の特徴であるが、プロペラ状の羽根がついている「風媒果」である。材質はやや重硬で加工はやや困難であるが粘りが強く曲げ木に適している。樹液からメープルシロップが造れる。
基本種であるイタヤカエデの他に変種としてオニイタヤ、アカイタヤ、ウラゲエンコウカエデなどがあるが総称としてイタヤカエデとして扱う。
サワグルミ 沢胡桃(クルミ科 サワグルミ属、別名:カワグミ・フジグルミ)
雌雄同株の落葉高木で、樹高30メートル、直径1メートルに達する
北海道・本州・四国・九州に分布する。冷温帯域の渓畔などに生育し、真っ直ぐに伸びる。ブナ林域の渓谷林・渓畔林の主役の1つである。
「クルミ」といっても、サワグルミの堅果は食用にはならない。
用途は、建築、パルプ、下駄・マッチの軸木・箸・経木。日陰で湿った土地でも生育し高木になるため、荒廃地を復旧するため(治山)の植樹にも用いられた。
ホオノキ 朴ノ木 (モクレン科、モクレン属)(別名ホオガシワ)
全国各地の山間に他の広葉樹と共に昆生している落葉高木。樹径1m、樹高30m程の大木になる。
特に土に湿気が多く肥沃な所で、より生長が早くなる。葉は互生し倒卵形、長さ 20-50cmで、日本産広葉樹中で最も大きい。
春から初夏頃、白い大きな花を咲かせ食用にもなるが、香りもまた魅力的である。
実は、大きな松かさ(松の実)の様な形をした集合果であり、熊の好きな実の一つでもある。
この木は生長が速く、しかもその材は緻密でかつ軟らかく、また狂いやひび割れが少ない。そのため昔から色々なものの材として利用されてきた。いまでも大は各種の家具から、指物をはじめ、ピアノやオルガンのキー、漆器の木地、曲物、箱、刀鞘、彫刻、版木、鉛筆やマッチの軸、下駄など実に多様な用途に利用されて
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いる。草紙や浮世絵などの刷り絵が盛んであった江戸時代にはその版木材としてホオノキは欠かせない存在であったことだろう。
またホウノキは、その葉の大きさから飛騨高山の「朴葉味噌」に代表されるように料理を乗せたり包んだりする皿の代役もしている。
現在でも 飛騨高山の朴葉みそ、朴葉ずし、朴葉モチ、朴葉にぎりなどが知られている。
また、樹皮や実は、漢方の健胃整腸薬として「和厚朴」(わこうぼく)の名で利用されている。
タムシバ(匂辛夷)(モクレン科モクレン属、別名:カムシバ、ニオイコブシ)
タムシバは本州以南の日本各地に分布する落葉の小高木。温帯から暖帯の山地に生育し、コブシに先駆けて白い花を開く。葉が展開する前に、直径10cmほどの芳香のある白い花を咲かせる。コブシとよく間違われるが、タムシバの葉は中央部で最も幅が広いが、コブシはタムシバに比べて幅が広く、先端に近い場所で最も広い点で異なる。 タムシバの枝や葉は噛むとキシリトールのような甘味がするので、カムシバの別名もある。名前は、カムシバが転じて「タムシバ」になったものである。類似種のコブシとの違いは、本種は花の下に葉がない。
コブシ(辛夷)とタムシバ
コブシ
モクレン科、モクレン属、北海道から九州まで分布
名前の由来:集合果が握り拳に似ていることによる
モクレンに似た白い花で葉が出る前に直径7〜10cmの香りの良い白い花を枝いっぱいにつける
開花時期:3月中旬〜4月中旬頃、昔の人はコブシの花が咲くと田植えを始めた
タムシバとの区別
タムシバは、日本海側の多雪地帯に多く、花の時期にはコブシとの区別が難しいが、花の直ぐ下に小型の葉が無く、葉はコブシより薄く長い。裏面が白っぽいことで区別する
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オクチョウジザクラ(バラ科、サクラ属)
日本海側(東北地方一帯、新潟県、富山県など)に分布。マンサクの花の終わる頃、咲き始める。
日本海側の積雪適応種で背丈は低く幹や枝がよくねばる。チョウジザクラの変種である。
名前のチョウジは、丁字で、花の形を横から見ると、丁の字にみえることによる。
ユキツバキ(ツバキ科、ツバキ属)
ユキツバキはヤブツバキが日本海側の多雪地帯に適応したもの。幹は直立せず、横に広がるようにしてのびる。花は、雄しべのつけねがくっつくヤブツバキと異なってつけねまで分かれていることや、ヤブツバキの花糸が白いのに対し、ユキツバキでは黄色い。
またヤブツバキと比べて、枝が細くしなやかで、雪の重みにたえ、雪の下にうずもれることで厳しい寒さから身を守る。雪解けを待って深紅の花をつけ、雪国に春を告げる花として知られている。
オオヤマザクラ 大山桜(バラ科、サクラ属)(別名エゾヤマザクラ、ベニヤマザクラ)
野生種としてヤマザクラ、カスミザクラなどのヤマザクラ類のほかに、オオシマザクラ、エドヒガン、マメザクラ、チョウジザクラなどがある。
北海道、東北、中部地方の山地に多く自生する。また、南部では「ヤマザクラ」「カスミザクラ」の自生する上部にあたる高所に分布する。花色のピンクが鮮やかである。
野生種のヤマザクラは、三つの種類に区別される。
一つ目はシロヤマザクラで、白に近い薄紅の花をつける。
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分布は、本州の宮城・新潟両県から南に分布する南方型のものである。
二つ目はオオヤマザクラで、ヤマザクラよりも花の色が濃く淡紅色、形もすこし大きい。北方型で本州中部から北に分布する。
三つ目はカスミザクラで、花は白色、シロヤマザクラよりも半月以上も花期が遅い。全国に分布するが、やや深山にみられることが多い。
カスミザクラ
カスミザクラは落葉高木で、高さ15〜20メートル、直径30〜50センチに達する。陽樹で適潤性を好むが、やや乾燥地でも生育し、成長は早い。大枝が横にひろがるが、一般に枝は細い。
カスミザクラの花は遅咲きで、4月から5月にかけて、ヤマザクラの散った頃に咲き始め、葉の展開時か展開後に咲く。花は両性花で、2〜3センチの白色、花弁は5枚で、2〜3個の花が散房状に咲く。
本来はヤマザクラが日本の代表的な花であるが、今では、ソメイヨシノがサクラの代表になっている。その理由として、ヤマザクラよりも早く咲き、開葉前に樹いっぱいにピンクの花をつけるソメイヨシノが日本中に植えられたためである。
ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラとの雑種でさし木苗をつくり、全国へ植栽したため、全てが同一クローン(1つの母体から無性生殖で増殖)なので、同じ性質をもっており、個体差がないので、サクラ開花前線が予測できる。
校庭や街路樹にあるソメイヨシノは、開花後、果実が多量に落下しているのが見られるが、発芽した稚樹はみられない。その理由は、同一クローンなので、自家不和合成(受精が正常に行われない)や不稔性(正常に発芽しない)のためである。 一般に、樹木などは自家受粉による受精を防ぐ機能をもっている。
ヤドリギ(ヤドリギ科 ヤドリギ属)
ヤドリギは、寄生性の常緑樹で落葉高木に寄生する。果肉は粘液を含んでいて甘みがあり、鳥が好む。果実は鳥によって散布され、粘液によって枝などにひっついて定着する。
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発芽したヤドリギは根を幹の中に食い込ませ、樹木から水分と養分を吸収する。葉は肉厚で対生。
葉と若枝は薬草商の取り扱う商品であり、ヨーロッパ、特にドイツでは循環器・呼吸器系の疾患や腫瘍・悪性腫瘍の処置に利用される。北欧神話では象徴的に扱われている。西欧の近代的な風習にみられる、祭日の飾りとして掛けたヤドリギの束の下でのキスはそれらに由来する。
今日ではクリスマスの飾りとして広く用いられる。ヨーロッパではオウシュウヤドリギが、北アメリカでは Oak Mistletoe (ヤドリギ)が使われる。クリスマスでの風習の1つとして、“ヤドリギの飾りの下で出会った2人はキスしなければいけない”というものがある。
ケナシヤブデマリ(スイカズラ科、ガマズミ属)[毛無藪手鞠] (別名ヒロハヤブデマリ)
山地の林内や林縁に生える落葉低木で高さは3メートルほどになり、枝は水平に広がる。ヤブデマリに似ているが、全体に毛が少ないか無毛。葉は円形〜広卵形で対生する。若枝や葉の裏面、花序などには毛がほとんど無い。若枝や葉柄が赤褐色をしているのも特徴。
栽培されるオオデマリ(英名 Japanese snowball)は本種の園芸品種。花期:5-6月、分布:北(東部)・本(東北〜北陸)
5月から6月ごろ、「ガクアジサイ」に似た白い花を咲かせる、散形花序の真ん中が両性花で、まわりに大きな装飾花がある。果実ははじめ赤く、後に黒く熟す。
ハシバミ 榛(カバノキ科・ハシバミ属、別名 オオハシバミ・オヒョウハシバミ)
日当たりの良いところにはえる落葉低木で高さ1〜2m、大きい物は5mほどになる。葉は互生、果身は長さ6〜12p、幅5〜12pの広倒卵型で、先は急に鋭くとがり基部はハート形、縁には不揃いの歯牙状の重鋸歯がある。
花 雌雄同株で3〜4月葉の展開前に開花する。
果実:果期は9〜10月 花の後葉状の果苞になり堅果を包む。2〜3pの鐘形。堅果は直径1.5pほどの球形になる。ハシバミ属の果実はいずれも古くから食用にされている。ヘーゼルナッツの名で親しまれているのはヨーロッパ原産のセイヨウハシバミの果実である。ビタミンEが多く含まれる。
ツノハシバミ 斑尾でもよくみられる
果実に特徴があり、花の後、雌花の小苞は筒状になって堅果を包みこむ。果苞は長さ3〜7pで先がくちばし状に細くなり全体に刺毛が密生する。堅果は1〜1.5pの円錐形。ハシバミ同様実は食べられる。実の形が角が生えているようで面白いので庭に植えられることもある。
ヤチダモ 谷地ダモ(モクセイ科・トネリコ属)
落葉高木。雌雄別株。樹高は大きいもので30m、幹径は1.5mに達する。北海道から岐阜県以北の本州に分布し、山地、渓流沿いや湿地に植生する。関東地方以西には、同じ仲間の「シオジ」がある。
斑尾高原では、沼ノ原湿原入り口付近に多く植生する。
水分の過剰な湿地に良く適応し、冠水によって幹が肥大したり不定根をを出したりする。
材は堅いが加工しやすく、粘りもある。市場では「タモ」と呼ばれ、内装材や野球のバットなど運動具等に利用される。
北海道では、造林が行われている。
ミズキ 水木(ミズキ科・ミズキ属)
落葉高木。高さ10〜20m、直径10〜50cmになる。
斑尾高原にも多く植生し、春5月〜6月にかけて白い花を咲かせる。枝ばりが独特で、階段状にテーブルを載せたような形は、遠目にも存在が確認できる。
ミズキの材は白色で、細工がしやすいので、こけし木地として利用され、造林されている。小正月(1月15日以降)には、カイコの繭がたくさん収穫できるよう、米粉でつくったまゆ玉を若いミズキの枝にさして、神棚などにかざる風習が多くの地域で行われていた。また、ミズキで作った割り箸も有名である。各地方で、盆や椀などの漆器木地や、器具の柄、杓子などにも使われ、人間の生活と関係の深い木である。
名の由来は、樹液が多く、早春に枝を切ると水がしたたり落ちる事から付けられた。 94
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ハルニレ 春楡(ニレ科・ニレ属、別名:エルム・アカダモ)
落葉高木。高さ20〜30m、直径1m程になる。
斑尾高原では、東トレイルの湿原部(奥の丸木橋〜湿原駐車場直下の橋)に数本植生する。
何年か前の10月末の大雪で太い枝が折れたトレイル沿いの木である。
ケヤキと同じ仲間である。北海道に多い樹であり、幹は比較的下部で大きく分かれ、多数の太い枝を張り、広卵形の大きく、豪壮な樹冠を拡げたハルニレの木の下は恰好の憩い場所である。日光の戦場ヶ原、富士山麓の山中湖、信州の戸隠高原、裏磐梯の檜原湖などの避暑地が有名である。
ハルニレは北海道で立派な大木になるので、アイヌと縁が深く、多くの逸話が残されている。アイヌの伝説で、雷神が美貌(びぼう)のハルニレ姫の上に落ちて、人間の祖先のアイヌラックルが生まれたという。北海道大学の構内にはハルニレの大径木があって、エルムの学園ともいう。
ウルシ 漆(ウルシ科・ウルシ属)
落葉小高木。雌雄異株。高さ7〜10m、直径40cm程になり、数本の幹が株立ちとなる。
植物性の塗料として古くから使われているものにウルシ液、カキ渋がある。幹を傷つけて漆器用の固有の臭気のある乳白色の生(き)ウルシを採取する。ウルシ液の主成分はウルシオール(urushiol C12H32O2)で、その酸化に際し有毒成分を出すためかぶれる(アレルギー性皮膚炎)。特に若葉に注意。かぶれの程度は個人差がある。
ウルシは江戸時代には、桑、楮(コウゾ)、茶とともに「産業の四木」の一つとして各藩がその栽培を進め、財政上、大きな利益を得た地方もある。日本の漆器工芸は会津塗、輪島塗、飛騨春慶などと各地にそれぞれ優れた伝統があり、また世界的にも有名で、陶器のことをチャイナ、漆器はジャパンと呼ばれる
ウルシ属の樹種特性を簡単に紹介する。
ヌルデ
タンニンについて
タンニンとは、タンパク質吸着機能を持つ天然ポリフェノール成分の総称である。
タンニンは多くの高等植物に含まれている(特に樹皮)。植物の樹皮等にタンニンが含まれているのは、タンニンがタンパク質と強い結合作用をもっていて、昆虫による食害や腐朽菌による腐れを防いでいるためである(被食防衛)。
アカシアモリシマの樹皮には30%もの多量のタンニンが含まれている。カラマツやヒバ等の針葉樹樹皮にも7%程度のタンニンを含有している。タンニンは溶剤抽出等によって樹皮等から容易に抽出・精製することができる。タンニンは昔から革のなめし剤、染色剤、防腐剤、木材の接着剤、生薬の成分等として利用されている。
最近では、タンパク質吸着能、白アリに対する抗蟻性、繊維への染着性、ホルムアルデヒドの吸着能などの機能を持つことが明らかにされている。また、虫歯の原因となる菌やメラニン色素に関与する酵素の阻害活性を有することが示されている。
タンニンを樹皮等に、特に多量に含むのは、主にオーストラリア原産のマメ科植物、タンニンアカシアである。タンニンアカシアは、タンニンを採取する原料植物として利用できるアカシア類の総称である。その中で、アカシアモリシマが最も有名である。
(シリーズ自然を読む「樹木の個性を知る、生活を知る」から抜粋)
落葉小高木である。陽樹で、原野や伐採跡地など陽当たりのよい所に一斉に生じ生育する。葉にはアブラムシなどの幼虫が寄生して虫えいをつくる。これを5倍子といい、貴重な工業資源で、薬や媒染剤などに利用される。
幹を傷つける白色の樹液がしみ出すが、かぶれる心配はない。これを器具などに塗ったことからヌルデの名がついた。ウルシには用いない。樹皮は染料になる。
若い葉は食用となるので、朝鮮では春に摘んで食べるという。種子の表面に酸味のある白い粉がついていて、子供の時になめた経験がある人もいるだろう。
ハゼノキ
外国から渡来した落葉小高木である。果実からロウを採取するために古くから栽培されていたが、現在では暖地の各地に野生化している。また、紅葉が美しいので観賞用としても植えられる。暖地は寒暖の差が少ないためか、カエデの紅葉が、寒地に比較して鮮やかではないが、ハゼノキは例外で暖地でも秋になると燃えるような赤い紅葉に染まる。陽樹で、日当たりの良い畑地の畦(あぜ)、山麓の緩斜面地などに植えると生育が良い。 96
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果実に20〜30%のロウを含み、木ロウの原料とする。木ロウはロウソク、薬用、石けん、ポマード、口紅、クリーム、クレヨンなどに広く用いる。樹液はあまりとれない。
同じロウ採取木のウルシが寒地向きなのに対して、ハゼノキは暖地性の樹木であるため、江戸時代西南諸藩によって植栽がさかんに奨励された。現在、関西以西の各地にこの木が野生化しているのはそのなごりである。心材は黄色なので、寄木細工に用いられる。
ヤマハゼ
暖地の落葉小高木。本州(東海以西)、四国、九州の丘陵帯で林縁部に普通にみられる。果実は6〜8ミリ。秋は紅葉する。種子は濃橙色。造園木ではないが、ハゼノキ同様に紅葉を賞して庭園、公園、風景地に植栽する。ハゼノキに比較して耐寒性がある。
ヤマウルシ
暖温帯の落葉小高木、ウルシより葉が小さく、ヌルデは葉の中軸に翼があり、小葉に鋸歯がある点などで区別ができる。北海道、本州、四国、九州の丘陵帯から山地帯の林地に多い。陽樹であるが、耐陰性もあり、また尾根筋などの乾燥地にも生育する。
ツタウルシ
温帯の落葉つる性の木本で、気根(空中に出た根)を出しながらほかの樹木の幹をよじ登り、日のあたる樹冠で枝を広げる。秋に紅葉する。樹皮を傷つけて出る白液は、空気にふれると黒変する。この液には刺激作用の強いラッコールという揮発成分が含まれていて、毒性が強いので、触れるとひどくかぶれる。過敏な人の場合、近くを通るだけでも皮膚に炎症を起こす。幼木の葉はツタの葉に似ているので、ツタウルシという。
ツタウルシの若葉を天ぷらにして食すると、舌にぴりりとくること、少し痒くなるのが良いといわれる、少々怖いが、ためされたらいかがでしょうか。