斑尾高原に見られる草

■草本類
ミズバショウ 水芭蕉(サトイモ科・ミズバショウ属)
花が終わると芭蕉に似た葉を出すのでこの名が付いたようである。
雪解けを待って、葉より先に純白の仏炎苞を立てて群生する姿は、大変美しく有名である。葉は有毒で、春の雪解け時期に冬眠していた熊が食べ、下痢を起こし体内の毒素を抜くと言われている。
リュウキンカ 立金花(キンポウゲ科・リュウキンカ属)
湿地や沼地など湿潤な土地に植生し、茎が直立して黄金色の花を付けることからこの名がある。雪解けの山麓の湿原などにミズバショウと混生し、雪国に春を告げる植物の一つである。
ヤマトリカブト 山鳥兜(キンポウゲ科・トリカブト属)
トリカブトは、花の形が舞楽の時にかぶる冠(鳥兜)に似ていることから付いたものである。花期は、8月〜10月で青紫色の花を付ける。根には猛毒な成分が含まれていて、かつては「トリカブト殺人事件」が起きて、世の中を騒がせたこともあった。
シラネアオイ 白根葵(シラネアオイ科・シラネアオイ属)
シラネアオイは以前はキンポウゲ科とされていたが、今はシラネアオイ科シラネアオイ属シラネアオイと分類され、一属一種の日本固有種となっている。深山の植物、茎の上部に大振りの2枚の葉が互生し、3枚目の小さい葉の上に花が単生する。 葉の形は掌状に浅く7〜11列し先端がとがった感じで、花期は5〜7月頃。
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淡紅紫色の花は、直径7センチくらいで大らかな美しさがあるが、キンポウゲ科と同じく萼片であって花弁はない。
和名は、日光の白根山に多く産し、花がタチアオイ(立葵)に似ていることに由来すると言われている。
別名をハルフヨウ(春芙蓉)、ヤマフヨウ(山芙蓉)ともいい、これもフヨウ(芙蓉)に似ていることによると見られる。シラネアオイは、日本海側を代表する日本固有の植物で日本海側の多雪地帯に多く、山地帯から亜高山帯の、沢筋から尾根まで広く分布し、ときに大きな群落を作ります。花の色、大きさともに素晴らしく、日本を代表する植物の一つといえる。
妙高市では、シラネアオイを市の花に指定している。
ミツガシワ 三槲・三柏(りんどう科・ミツガシワ属、一属一種)
花期は、4〜7月、分布は北海道・本州・九州の平地から高山の池沼など湿地に自生し群生する事が多い。花茎は、15〜40cmで、総状に10〜20個の花をつけ、やや紫を帯びた白い花は5裂して烈片は三角状卵形。内側に長く白い毛がある。
黄赤色の果実は偏球形で熟すと2裂し種子がこぼれる。
名前は、葉が柏に似ていて、小葉が三枚付いていることから付けられた。
約200万年前の氷河期には北半球全体に広がっていたといわれる、古い植物で、現在、暖地に点在するミツガシワは、氷河期に鹿児島あたりまで南下して広がったものの生き残り(遺存植物)といわれている。
薬草としてのミツガシワ
夏に葉柄ごと採取して天日で乾燥させる。これを生薬では「睡菜葉」(すいさいよう)と呼ぶ。
睡菜葉は、苦味健胃薬(くみけんいやく)として服用される。
アケボノソウ 曙草(リンドウ科・センブリ属)
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全国に分布する二年草湿原や小川の辺などの湿った場所に生育する。1年目にはロゼット状に生育し2年目に地上茎を出して花を咲かせる。茎は四角で高さは1メートルほどになる。葉は卵状楕円で葉の先は尖っている。9〜10月頃枝分かれした茎の先に有柄の白い5弁の花が咲く。アケボノソウの花の地色は白色だが先端に寄った部分には紫黒色の細点多数ある。この細点より中央に近い部分に円形の緑色班が2つ並ぶ。和名の曙草は、2つの緑色班を地上の山に見立て、その先にある紫黒点を、夜明けの星空に見立ててこの名が付けられたものである。
エンレイソウ 延齢草(ユリ科、エンレイソウ属)
葉は、3枚輪生し網状脈がある。花(斑尾高原では5月)は丁度葉の中心の茎頂に1個付き、暗紫褐色の花びらに見えるがくが3枚ある。果実は液果である。
林内の湿ったところに生える多年草。茎の高さ20〜40cm。
中国では、民間薬として用いられていて、漢名では、延齢草根(えんれいそうこん)といい、高血圧、神経衰弱、健胃、腹痛、食あたりに、乾燥した根茎(こんけい)を、1日量3〜5グラム程度煮出して服用する。
一般には、有毒植物として服用はしない、特に体質の弱い人は用いてはいけない。 多量に使用した場合には、嘔吐、下痢、血便が生じる。
有毒成分はサポニンほか で中毒症状は、嘔吐、下痢、血便、酩酊など
名前の由来は、中国では薬草として用いられていて、漢名を、延齢草根(えんれいそうこん)といい、主に胃腸薬として用いられていたことからエンレイソウの名がついた。
日本の古文書にも古くから、延齢草(えんれいそう)、延命草、養老草、三葉人参などとして、薬効の記述があり、古くから胃腸薬として用いられていたことがうかがえる。
この他に白い花の咲く「シロバナエンレイソウ」や「オオバナノエンレイソウ」などがある。
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チゴユリ 稚児百合(ユリ科・チゴユリ属)
チゴユリは南千島から九州、朝鮮・中国に分布する小型の多年草。日本各地のある程度標高の高い林内に分布する、草姿は、枝分かれすることなく高さ20〜30p位になる。白い6片の花びらを星型に咲かせ、実は1cm位の球形で、夏に熟すと黒くなる。小さな花であるので“稚児”であり、ユリ科なので百合である。仲間にオオチゴユリ、キバナチゴユリ、ホウチャクチゴユリがある。
繁殖は、実生でも行われるが、栄養繁殖(種で繁殖する以外の繁殖方法の全てを言う)して群生を作る。
マムシグサ 蝮草(サトイモ科・テンナンショウ属)
マムシグサは北海道から九州に分布する多年草。明るい森林や谷沿いのやや湿った場所に生育する。雌雄異株・開花期は3〜6月で秋には赤いとうもろこしを思わせる実をつけ山地の木陰に生えている。葉は2枚で、鳥の足のような複葉と、約1メートルもある地上茎を持っている。春に、仏焔苞(ぶつえんほう)とよばれる紫がかった筒状のものができて、茎や仏焔苞の模様が毒蛇のマムシが鎌首をもたげたように見えるのでマムシグサと呼ばれています。地下の球茎には毒があるが、漢方医学では天南星と呼び、薬としで使われる。
ちなみに似た植物でカラスビシャクはスマートで畑の雑草としてよく見かける。
またうり二つの植物にウラシマ草がある。ウラシマ草はひげが伸びてまるで釣りをしているように見える。しかしマムシグサにはひげがない。分布は北海道・本州(近畿地方以北)である。
サンカヨウ 山荷葉(メギ科 サンカヨウ属)
植生地としては、北海道、本州中部以北の深山、亜高山地域であり、林床や沢に生える多年草。春早く他の草木が茂る前に葉を展開し、5〜6月頃複数の小さな白花を付ける。花は径2cm程でかわいらしく、少し香りがある。カヨウとは「荷葉」ハスの葉のことである。
葉のつき方がハスに似ていて、平地のハスに対して山のハスということで山荷葉という。
実は食用になり、熟すと濃い紫色でブルーベリーのような実になり甘い。 101
カタクリ(片栗)(ユリ科、カタクリ属)
日本各地の山野に自生する多年草。
種子から発芽すると花を付けるまで8年という永い年月を要する。
花は早春2枚の葉の間から20cmくらいの花茎が伸び、先端に淡紫色の6枚の花びらを持ちやや下を向いて咲く。開花後徐々にシクラメンのように外側に反転する。
この植物は、万葉集にも出て来るくらいで、古来より根を「カタクリ粉」の原料として利用されてきた。
現在の「カタクリ粉」は、ジャガイモから取り出したデンプンで作られており、名前だけが残されている。
また、薬効としては、嘔吐や下痢、胃腸炎、病後の滋養などに葛湯として飲むことで効果がある。
ウスバサイシン(ウマノスズクサ科、ウスバサイシン属)
ウスバサイシンはウマノスズクサ科の草で、中部地方から北海道にかけての深山に生息している。
花は、大変地味で主に晩秋から初春にかけて開花する。ウスバサイシンはカンアオイと違って冬には落葉する。葉質も薄くて花はカンアオイとほとんど同じくらい似ている。
また、ウスバサイシンやカンアオイは、蝶が好んで食べる食草で、カンアオイがギフチョウの食草なら、ウスバサイシンはヒメギフチョウの食草である。
全草に精油を含んでいて、とくに根には強い芳香がある。ウスバサイシン、カンアオイやその他のアゲハチョウ類が食草にしているミカン科植物の多くは、いずれも精油を含有する点で一致していることは、精油とチョウの食草との間に秘密があるのかも知れない。
生薬の細辛(さいしん)は、ウスバサイシンの全草または根茎と根を乾燥させたもので、根は細くて噛むとピリッとした辛味があるのでこの名前がある。
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根には精油が2〜3%も含まれていて、組成はメチルオイゲノール、サフロール、リネモンなどある。この精油類には鎮静、鎮痛、解熱作用があるとされる。
細辛(さいしん)は、咳止め、痰きり、鎮痛、鎮静、解熱、あるいは新陳代謝の亢進(こうしん)を目的として使用されて、おもに漢方処方に配合される。
ツクバネソウ(ユリ科、ツクバネソウ属)
輪生する葉の形を羽根つきの羽根にたとえてこの名がある。深山の林下に生える多年草。果実は直径1pほどの球形で黒紫色。花期:5-8月、分布:北・本・四・九
ナルコユリ(ユリ科、アマドコロ属)
和名 鳴子百合(ユリ科)
北海道、本州、四国、九州に分布して主に林の肥沃地に1生育している。
多年草で、葉はササに似ている。茎の中部以上に互生し、裏面は白っぽい色をしている。
初夏、淡緑色の小花を葉腋(葉のつけね)に数個ずつ下に垂らすようにつける。この形状が鳴子(田畑で鳥を追い払うために、板に竹管をつけて音が出るようにしたもの)に似ているところから、この名がつきました。花被片(かひへん)は、6枚の筒状(とうじょう)で、先端部は分離して緑色である。
花のおしべは6本で花被の筒の中にあり、花糸は無毛で、初めは同じ太さですが開花3日目くらいで下の方が太く先端が細くなる。
果実は液果(えきか)で黒く熟す。
地下茎は長い塊状で、強壮剤にもちいられることも。
よくにているものにアマドコロがあるが、アマドコロより葉は細く、茎が丸く角張ってない。庭草に植えるマニアも多く、乱獲されないよう注意が必要。
ゴゼンタチバナ (ミズキ科 ゴゼンタチバナ属)
ゴゼンタチバナは、主に本州中部以北・北海道の亜高山帯の針葉樹林に生育する。茎の高さは通常は5cmを少し越える程度であ
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る。和名が印象的であるが、加賀白山の最高峰の名前が「御前」、赤い実が稔るのでカラタチバナに例え「タチバナ」であるという。
ツルリンドウ(リンドウ科 ツルリンドウ属)
ツルリンドウは日本全国に分布する多年生のつる植物。明るい二次林などに生育し、地表を這ったり小さな植物などに巻きついて立ち上がる。夏の終わり頃に「リンドウ」のような花を開き、秋には美しい赤色の果実を実のらせる。
マイズルソウ 舞鶴草(ユリ科・マイズルソウ属)
山地から亜高山帯の針葉樹林内に生える多年草。
高さ5〜20cmの茎は、ハート形の葉を互い違いに2枚位付ける。
花びらは、4枚で咲くとやがて後ろに反り返る。
名の由来は、鶴が舞っているように見える草という事から付けられた。
オタカラコウ 雄宝香&メタカラコウ 雌宝香(キク科・メタカラコウ属)
深山の湿地に生え、高さ1〜2mになる多年草。
長い花茎をのばし黄色の花をまばらに付ける。葉はフキに似るが、両端、先端が尖る。
名の由来は、根茎の香りが龍脳香(宝香)に似て、花の付き方が、メタカラコウより大きく多いことから「雄」を付けてオタカラコウとなった。一方メタカラコウは、草姿や花姿が、オタカラコウに比べ、小さく、また花数が少なくてやさしい感じから雌をつけて、メタカラコウの名になった。
龍脳香とは、樟脳の臭いに近い高級な檀木。スマトラなどの南方の高温多湿な地域に自生するフタバガキ科の樹木が原木である。
斑尾高原では、沼ノ原湿原奥の休憩場付近及び赤池地域の奥の小湿原などに群生が見られる。
オニシモツケ 鬼下野(バラ科・シモツケソウ属)
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オニシモツケは北海道、本州中部以北に分布し、千島列島、樺太、カムチャッカ半島などにも見られる大形の多年生草本。山地の日当たりの良い湿った草地に群生し、河畔林の林内にもしばしば見られる。草丈は2メートル近くにもなり、大きなシモツケソウであることが和名の由来とされる。
頂小葉は円形で径20センチ程度になり、掌状に5中裂してカエデの葉の様である。花期は6〜9月、茎の先に散房状の花序を出し、白色の小さな花を多数咲かせる。花弁は5枚で、おしべが花弁よりも長いため一つ一つの花をよく見ると線香花火の様で可愛らしい。
斑尾高原では、沼ノ原湿原の中央小川に沿って群生している。
ヒメザゼンソウ 姫座禅草(サトイモ科・ザゼンソウ属)
湿地に生える多年草。花は、葉よりも後に出て、仏炎苞(ぶつえんほう)は、長さ4〜5cmと小さい。
分布は、北海道、本州中国地方以北。
斑尾高原には、沼ノ原湿原の中央小川脇のトレイル上に点々と植生するも小さく目立たないので見つけられずに通り過ぎてしまうことが多い。
斑尾での花期は、6月末〜7月上・中旬である。
ゼンテイカ 禅庭花(ユリ科・ワスレナグサ属、別名:ニッコウキスゲ)
山地や亜高山の草原、海岸などに群生する多年草。
分布は、北海道、本州中部以北。花期は6月上旬から8月上旬。草原・湿原を代表する花で、群生すると山吹色の絨毯のようで美しい。 高さは50cm?80cm。花茎の先端に数個つぼみをつける。花はラッパ状で、大きさは10cmぐらい。花びらは6枚。朝方に開花すると夕方にはしぼんでしまう一日花。
斑尾高原では、沼ノ原湿原で見られる。
カキツバタ 杜若(アヤメ科・アヤメ属)
湿原に群生する多年草。同じ仲間にアヤメやハナショウブなどがあり見分けが難しい。
花茎は、40〜90cm位。この花は、奈良時代から知られており、人の生活とも大変関係が深い花である。その絞り汁で着物を染めており、このカキツバタの花を布に押しつけて染めたという意味で「掻付花」或いは「書付花」の文字が当てられている。
「カキツケバナ」が転じて「カキツバタ」であろう。
なお、「いずれがアヤメかカキツバタ」という慣用句がある。どれも素晴らしく優劣は付け難いという意味であるが、見分けがつきがたいという意味にも用いられる。
以下3種の違いと見分け方を記す。
種 別
花 色

花の特徴
適 地
開花期
アヤメ
紫、まれに白
主脈不明瞭
網目模様外側の花びらに黄色い模様がある
かわいた所に育つ
5月上旬〜中旬
カキツバタ
青紫のほか 紫、白、紋など
主脈細小
網目なし
水中や湿った所に育つ
5月中旬〜下旬
斑尾では6月上旬〜下旬
ハナショウブ
紅紫、紫、絞 覆輪など
主脈太い
網目なし 花の色はいろいろある
湿ったところに育つ
6月上旬〜下旬
ツリフネソウ 釣船草(ツリフネソウ科・ツリフネソウ属)
山野の湿地に生え、高さが50〜80cm位になる一年草。北海道、本州、四国、九州に分布。7月〜9月に花を咲かせる。
ホウセンカと同じ仲間で,熟した果実にちょっと触れるだけで種を勢いよくはじきとばす。
また、斑尾では花色が黄色のものもあるが、これは「キツリフネ」である。 106
名の由来は、花がぶら下がって咲いている姿が花器の“釣船”に似ているので、この名が付けられた。
ワタスゲ 綿菅(カヤツリグサ科・ワタスゲ属、別名:スズメノケヤリ)
&サギスゲ 鷺菅(科・属はワタスゲに同じ)
北海道や中部地方以北の高層湿原に生える多年草で群生する。茎の高さは、20〜50cmになる。
花期は5月〜6月。白い綿毛を付ける果期は6月〜8月。花が終わると直径2〜3cmの名前の由来ともなっている白い綿毛を付ける。この綿毛は種子の集まりである。
一方サギスゲの植生等は、ワタスゲと同様であるが、花はワタスゲが茎頂に1個付けるのに対し数個付ける。
斑尾高原では、ワタスゲの群生は袴湿原で見ることが出来る。またサギスゲは、沼ノ原湿原で見ることが出来る。
モウセンゴケ 毛氈苔(モウセンゴケ科・モウセンゴケ属)
北海道から九州の山地から亜高山にかけての日当たりのよい湿地に生える多年草。茎はロゼット状で根生する。食虫植物の一種で、葉にある粘毛から粘液を分泌し、虫を捕獲する。
夏に10〜20cmの花茎を上げ白い5弁の花を咲かせる。
名の由来は、群生地での赤い色で毛羽立った葉を緋毛氈に見立てたものである。
ちなみに“毛氈”(もうせん)とは、獣の毛を熱や圧力で押し固めて、敷物用に加工したものである。
斑尾高原では、袴湿原で見られる。
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トキソウ 朱鷺草(ラン科・トキソウ属)
日当たりのよい湿地に生える多年草。茎は高さ10〜30cm位で、葉は、茎の中間に1個付く。
花は、淡紅色で茎頂に横向きに一つ付ける。
和名は、花色から付けられた。
現在は乱獲がたたって、激減し、環境省レッドデータブックの準絶滅危惧種に指定されている。
斑尾高原では、袴湿原と沼ノ原湿原で見られる。
ベニバナイチヤクソウ 紅花一薬草(イチヤクソウ科・イチヤクソウ属)
亜高山〜高山の林内に生える常緑の多年草。北海道、本州中部地方以北に植生する。
花は、6月〜7月にかけて、根ぎわに付いた葉から20cm程の花茎を上げ、その先に総状花序を作り、多数の濃いピンクの花を付ける。
通常のイチヤクソウは、白花である。
この花の名の由来は、全草を乾燥して薬に用いたところから付けられた。
また、一薬とは一つの薬草で多数の効用があるとのことで、「一薬多効」の草で利尿や脚気、生理不順等に効くようである。
高山植物としては、人気があるが、半寄生植物であるために非常に栽培が難しい。
斑尾高原では、袴池付近で見られる。
オキナグサ 翁草(キンポウゲ科・オキナグサ属)
本州・四国・九州から朝鮮・中国にかけて分布し、日当たりのよい原野に生える多年草。
花は、濃い紫色の花びらを下に向けて可憐に咲き、やがて成長すると“翁のヒゲ”のような種子をたくさん作る。名前はこの姿にちなんで付けられたものと思われる。 108
かつては野の彼方此方に群生を作って植生していたが、農山村の荒廃、レジャー施設等の開発、山野草ブームによる乱獲等によって激減してしまっている。
現在、環境省レッドリストで絶滅危惧種U類となっている貴重種である。
斑尾高原での自生地は、ほぼ消滅してしまったが、幾つかのペンションのガーデン等に群生している。
ミズチドリ 水千鳥(ラン科・ツレサギソウ属)
ミズチドリは九州・本州から北海道の湿原に生育し、朝鮮・中国・東シベリアにも分布する。
高さ 50 〜 90 センチの多年草で、茎の先に白い花を穂状につける。花にはよい香りがするので,ジャコウチドリ(麝香千鳥)という別名がある。
シラヒゲソウ 白髭草(ユキノシタ科・ウメバチソウ属)
シラヒゲソウは本州・四国・九州に分布する多年草。湿地に生育する。
花は8月から9月に咲き、花弁の長さは1cm前後。花弁の縁は名前の通り、ひげ状に細く裂ける。
斑尾高原では、沼ノ原湿原で見られる。
ヨツバヒヨドリ 四葉鵯(キク科・フジバカマ属)
深山に生え、高さ1m〜2m程になる多年草。特徴は、4枚の葉が輪生する。
花は、茎頂の散房状花序に淡紅紫色または白色の頭花を密につける。
良く似た種類に「ヒヨドリバナ」「フジバカマ」「サワヒヨドリ」などがある。
見分け方としては、ヒヨドリバナとサワヒヨドリは、葉が「対生」していること。フジバカマは、葉の先が深く3裂していることが特徴的である。
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サラシナショウマ 晒菜升麻(キンポウゲ科・サラシナショウマ属)
北海道〜九州の山地の林内に生える多年草。高さ1m前後になり、花期は8〜10月。斑尾では、9月頃20cm余りの白い花穂を出す。
サラシナという名は、若菜を茹でて水で晒して食用に供することから付いた。
ショウジョウバカマ 猩々袴(ユリ科・ショウジョウバカマ属)
北海道から九州までの、やや湿った場所に生える常緑の多年草。垂直分布が広く、人里近くの田んぼの畦道から高山帯の高層湿原まで生えている。
和名は花を猩々(しょうじょう;猿の一種)の赤い顔,葉の重なりを袴にみたてたものである。
猩々とは、中国では猿に似た、顔は赤くて酒好きの想像上の動物を指し、格調高い姿をして舞い戯れる無邪気な霊獣とされている。その“猩々”が不老長寿の福酒を人間に授けるという中国の伝説を元にして能楽の“猩々”が作られた
ウメバチソウ 梅鉢草(ユキノシタ科・ウメバチソウ属)
山野の日当たりの良い湿地に生える多年草。日本では北海道〜九州に分布する。
花茎がでる頃には根出葉はなくなる。8月から10月にかけ、花茎を出して頂きに白い花を咲かせる。花茎には無柄の葉が1枚付く。花弁は緑色の脈が目立つ。
名の由来については、藤原氏によって失脚させられた菅原道真は、太宰府にて寂しい一生を終えた。その亡骸は、太宰府天満宮に葬られ、天満宮の祭神となり、彼の好んだ梅の花は、天満宮の神紋になった。
道真にゆかりのある人々は、この梅の花を家紋とし、その一つが梅鉢紋である。
この梅鉢紋に似るので付けられたと言う。
斑尾高原では9月中下洵〜10月上旬頃にかけて希望湖の堤防2カ所で群生が見られる。 110
また奥の堤防では同時に“センブリ”の可愛いピンク〜ムラサキの花姿も見られる。
ギンリョウソウ 銀竜草(イチヤクソウ科・ギンリョウソウ属、別名:ユウレイタケ)
山地のやや湿り気のあるところに生える腐生殖物。全体が白色で葉緑体を持たない。茎は高さ20cm程になり、葉の進化した鱗片葉が多数互生する。花は、茎の先に下向きにつく。
名の由来は、下向きに付く花とうろこ状の鱗片葉に包まれた姿が“竜”に似るところから付けられた。
また、別名は薄暗い林の中に生えるその様から付けられたものであろう。
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