斑尾高原の自然知識

■自然に関する知識
自然、植物、生物に関する一般的知識
自然生態系
(対象を森林生態系に絞って説明する)と森林生態系(別図参照 )
生産者:緑色植物群(葉に葉緑素を持ち、光合成により生産者の働きをしている)
消費者:動物群 直接(草食性) 間接(肉食性)
分解者(還元者) 生産者・消費者の出す種々の廃棄物を分解(還元)・・・無機物化生産者の廃棄物・・・落葉・落枝・根の枯死や枯木等・・陸上では地上に落下集積される消費者の廃棄物・・・排泄物・遺体等・・・地表に還される
土地へかえされた廃棄物は、表土中に生息する種々の小動物やキノコ・カビ・バクテリア等の総合的な分解作用を受ける
こうして廃棄された有機物は分解・還元されて無機化され、二酸化炭素と無機塩類の無機物に還ってしまう。この分解・還元にあずかる地中の動物と植物を総合して分解者(還元者)と名付けている
生産者は、陸上生物の生活の二大基質である大気と土壌から二酸化炭素と水という無機成分を取り込み、太陽光線の持つエネルギーで、いわゆる光合成或いは炭酸同化作用を行って有機物を合成し、植物体を固定する。
動物の全て及び光合成の出来ない植物(例えば腐生植物・・カビ・バクテリア)の全てはこの緑色植物の有機物生産に依存して生活している。
土の中で分解により生じた二酸化炭素は、土壌呼吸と言われ大気に還元され、再び光合成に用いられる。
無機化された栄養塩基は、土に貯えられ再び根から吸収されて、同様に植物体の形成に用いられる。すなわち陸上の生物界には”リサイクル”のシステムが完成されている。
こうした生産者・消費者・分解者の三者間に成立している物質の循環は、植物群落の生育を中心にして考えて「自己施肥機能」とも言われるが、自然界における無機的な環境に生物有機体との間に常在する循環システムであるので「生態系」と名付けられたのである。
36
植物の光合成
光合成とは太陽の光(エネルギー)を使って、水と二酸化炭素から、でんぷんなどの栄養分と酸素を作る働き、呼吸とは、炭水化物などを酸素と反応させ、生きるためのエネルギーと水と二酸化炭素を作る働きをいう。すなわち光合成と呼吸はちょうど正反対の反応である。
光合成を行うのは、もちろん植物である。それにより自らを養って成長するばかりでなく、その結果として地球上のあらゆる生物を生かし成長させているということが出来る。
植物は、葉っぱの細胞の中に葉緑素(緑色:ゆえに葉っぱは緑なのである)などの色素を含む、葉緑体を持っていて、この葉緑体が太陽のエネルギーを受けると、二酸化炭素は炭水化物に、また根から吸収した水は、水素と酸素に分解して空中に放出する。このように植物は、太陽光(ソーラー)エネルギーをフルに活用した、壮大な空気の浄化・製造工場なのである。そして修理のいらない永久的な酸素製造装置が「光合成」というシステムなのである。
また、この植物、動物、微生物とそれをとりまく大気。水、土は、太陽の光のエネルギーを中心に、お互いに働きあいながら、ひとつのしくみを形作っている。土の上に落ちた葉や枯れ枝、動物のふん、昆虫の死体などはダンゴムシ、ミミズなどの土の中の生き物が食べ、小さくくだかれる。それが微生物によって分解され、植物の成長に欠かせない養分として土に戻される。こうして植物・生物の連鎖は地球環境に欠かせない仕組みともなっている。
さらに光合成は、我々に欠かすことの出来ないエネルギー問題とも大きく係わっている。
まず、化石エネルギーである石油や石炭などは昔の植物などが変化して出来たものであるから、化石エネルギーは光合成の賜物であるといえる。また近頃注目されているバイオマスエネルギーは直接的に光合成でできる有機物を利用するものであること。
そして「燃える」作用から得られる火力発電からエネルギーを生み出すことは、光合成の反対の反応である呼吸そのものであるから、空気中に大量の二酸化炭素を放出しているわけである。これが地球の温暖化の大きな原因となってしまった。これから我々生物が未来永劫生き延びていくためにも、植物の存在は欠かせないものであることを忘れてはならない。
最近では、世界各地で起きている乱伐や森林火災等で、本来なら修理のいらない永久的な製造装置に異変をきたし、早急に修理が必要になってきている状況だ。植物を守り、増やしていく努力が我々に課せられた責務でもある。
物質から見た光合成
”ソーラーコンビナート“(植物の光合成)
もしこの世界中から植物が無くなってしまったら、人間を含むあらゆる生物は、生きて行くことが困難になってしまうであろう。
“空気”の多くを占める大量の酸素を作り出す手段が無くなってしまうからである。
植物は、水と炭酸ガス(二酸化炭素CO2)と太陽の光があれば、“光合成”を行って自らを養って成長し、その結果として、酸素と有機物(炭水化物)を作り出している。
この仕組みをもう少し詳しく見てみると、植物は、葉っぱの細胞の中に葉緑素(緑色:だから葉っぱは、緑なのである)などの色素を含む、葉緑体を持っていて、この葉緑体が太陽のエネルギーを受けると炭酸ガスは、炭水化物に、又根っこから吸収した水は、水素と酸素に分解して空中放出しているのである。
このように、植物は、太陽光(ソーラー)エネルギーをフル活用した壮大な空気の浄化・製造工場なのだ。そして、修理のいらない永久的な製造装置が“光合成”なのである。
ものすごくおおざっぱな言い方をすると、生物のからだは炭水化物からできている。また、生命活動に必要なエネルギーも炭水化物から取り出す。光合成は植物が炭水化物を手に入れるための代謝経路である。ほとんどの植物は光合成以外に炭水化物を取り入れるための経路がない。例外として、炭水化物を他の植物から奪う寄生植物、菌類から奪う腐生植物、昆虫から奪う食虫植物などがあるが、生態系の炭素循環から見れば微々たるものである。
陸上植物の場合、光合成で生産される炭水化物の炭素源は、大気に含まれる二酸化炭素である。炭素源としての二酸化炭素の利点は、どこにでもある、たくさんある、小さい分子なので利用しやすい、などだろうか。「どこにでもある」「たくさんある」というのは、大気は二酸化炭素を約0.04%含んでいるので、「二酸化炭素が周囲にない」という状態は土にでも埋まらない限りない、ということである。また、空気の分子の拡散は非常に速いため、植物が光合成をしすぎて周囲に二酸化炭素がなくなってしまう、という状況もほとんどない(ただし、二酸化炭素が周囲にあっても植物が利用できないことは多々ある。また、大気中の二酸化炭素濃度は非常に低いので、「たくさんある」けれども、植物にとって充分な量が供給されているとは限らない)。
「小さい分子なので利用しやすい」というのは、特別な輸送経路を用いなくても手に入れられるということである。二酸化炭素は拡散(つまり受動輸送)によって細胞内に入ってくる。
37
38
その際特にエネルギーを使ったりはしていない。光合成で利用されるエネルギーは、全て二酸化炭素が細胞内に入ってから消費される。これは、例えば根で栄養塩吸収にけっこうなエネルギーが使われていることを考えると、意外に重要なことであるような気がする。
光合成を一つの化学反応としてみると、
CO2 + 2H2O → (CH2O) + H2O + O2 式1
という化学式で表される。炭水化物を (CH20) と書いたが、多くの場合、光合成の最終産物はショ糖 (スクロース、C12H22O11) である。ショ糖が植物体内のあちこちに輸送され、新たに体を形作る材料として利用されたり、呼吸でのエネルギー生産の原料となったりあうる。
エネルギーから見た光合成
植物を燃やすと、熱が出ます。燃焼熱をエネルギー源として利用すればお湯だってわかせるし、発電だってできる。つまり植物を燃やすとエネルギーが放出されるということである。完全に燃やすと植物体を構成していた炭水化物は二酸化炭素になる。このことは、植物体−エネルギー→二酸化炭素、逆に言うと、二酸化炭素から植物体を作るためには相当のエネルギーが必要であることを意味する。
上に示した式1は吸エルゴン反応、つまり外部からのエネルギーの投入がなければ進まない反応である。1モルのCO2を糖に変換するために、少なくとも480 kJのエネルギーが必要である。
光合成で利用されるエネルギーは光である。クロロフィルと呼ばれる色素が光を吸収し、これがいくつかのステップを経て化学エネルギー(ATPなど)に変換される。この化学エネルギーを利用して二酸化炭素から糖が合成されのである。
生態系における光合成の位置づけ
我々人間は植物(米、野菜など)も動物(肉、魚など)も食べ、炭水化物などの必要な物質を吸収し、体を形作る材料やエネルギーをとりだす。全ての生物は生きるため、成長するために炭素を必要とる。動物はそれを他の生物を食べることで充たすが、元をたどると、ほとんど全ての生物中の炭素は光合成によって固定されたものである(例外として、化学独立栄養細菌による化学合成がある)。つまり光合成という反応が全ての生物の糧を供給しているのである。
39
人間活動も大きく光合成に依存している。「食」だけではない。石炭・石油といったいわゆる化石燃料は太古の植物の遺骸が変化したものである。つまり火力発電によるエネルギーも元をたどれば光合成ということになる。
地球の歴史で見ると、光合成は地球環境を大きく変えてきた。地球ができた当時の大気はほぼ全てが二酸化炭素であった。しかし光合成生物の増加により大気中の二酸化炭素濃度は大きく減少し、酸素濃度が増加した。かつて大気にあった二酸化炭素の多くは現在生物や土壌に有機物として蓄積している。
光合成をする生物
生物は、その進化系統から、細菌、古細菌、真核生物の3種類に大きく分けられる。光合成を最初に行った生物は細菌のグループから進化した(光合成細菌)。光合成細菌の多くは、酸素発生をしない、つまり式1とは異なる経路の光合成経路を持っている。その中から、現在の高等植物とほぼ同じ光合成系を持つラン藻(ラン色細菌、シアノバクテリア)が進化したのである。
真核生物の中では、藻類や陸上植物などが光合成を行う。しかし、真核生物自身が光合成を行えるような進化は起こらなかったようで、かつてラン藻のあるものがある真核生物にとりこまれ、細胞内に共生し、葉緑体へと進化したのだと考えられてる。
現在地球上の光合成のうち約40%はラン藻によるもので、約40%が森林で行われているものだと考えられているようだ。
地球温暖化
地球の表面には窒素や酸素などの大気が取り巻いている。地球に届いた太陽光は地表での反射や輻射熱として最終的に宇宙に放出されるが、大気が存在するので、急激な気温の変化が緩和されている。とりわけ大気中の二酸化炭素は0.03%とわずかで、地表面から放射される熱を吸収し、地表面に再放射することにより、地球の平均気温を摂氏15度程度に保つのに大きな役割を演じている。こうした気体は温室効果ガスと呼ばれる。
18世紀後半頃から、産業の発展に伴い人類は石炭や石油などを大量に消費するようになり、大気中の二酸化炭素の量は200年前と比べ30%程増加した。これからも人類が同じような活
40
動を続けるとすれば、21世紀末には二酸化炭素濃度は現在の2倍以上になり、この結果、地球の平均気温は今より1.4〜5.8℃上昇すると予測されている。
温室効果ガスには、二酸化炭素のほかメタンやフロンなどがあるが、とりわけ、フロンなどの人工の化学物質は二酸化炭素より温室効果が強く、微量でもその影響が懸念されている。
地球の温暖化は二酸化炭素やフロンなどが原因であり、地球の温暖化は、人為的な活動に起因することは疑いの余地がないところである。
気温が1.4度上昇すると私たちにどのような影響があるのか、なかなか実感しにくい面があるかも知れないが、これまでの経験では、かつてない猛暑だと言われた年でさえ平均気温は平年より約1度高かっただけである。このように、わずかな気温の上昇によっても大きな影響が現れてくるのである。
温暖化が進むと、日本では、これまで食べてきた美味しいお米がとれなくなり、病害虫の懸念も増大する。漁獲量にも影響がでる。暖水性のサバやサンマは増える一方、アワビやサザエ、ベニザケは減少するとみられる。また、日本南部はマラリヤ感染の危険性が増し、北海道や東北ではゴキブリなどの害虫が見られるようになると考えられる。都市部ではヒートアイランド現象に拍車がかかり、海岸地域では砂浜が減少し、また、高潮や津波による危険地帯が著しく増大する。
地球規模で見ると、海面が上昇して数多くの島々が海に沈み、特に、マーシャル諸島や低地の多いバングラデシュでは大きな被害がでる。また、温暖化は異常気象を招き、地球上の各地で水の循環が影響を受ける。この結果、洪水が多発する地域がある一方、渇水や干ばつに見舞われる地域も出てくる。こうした気候変動は世界的な農産物の収穫にも大きな影響を与え、国際相場が大きく変動する。とりわけ食糧の輸入依存度の高い日本への影響が心配される。
現在日本における温室効果ガスの排出は、大半が産業活動に起因している。とりわけ二酸化炭素の排出はエネルギー需要に左右される面が大きく、このため、産業界における徹底した省エネやエネルギー転換などが進められ、これからもより積極的な対策が期待される。政府はこうした活動を支援し、さらに自然エネルギー利用などを促進するため、経済的なインセンティブ(刺激)の導入などを積極的に推進しようとしている。一方、日本経済を根底で支えているのは私たち国民の一人一人であり、温暖化を防止するためには、私たちのライフスタイルを変革することが不可欠となる。できるだけ不要なものを買わず、大事にものを使い、再利用やリサイクルを心がけることは大変重要なことである。また、節電をしたり、外出時
41
の車利用を自転車や公共機関に切り替えたりする努力も必要である。要は、生活の中でできるかぎり資源・エネルギーの無駄使いを排除し、再利用やリサイクルを推進していくことが、循環型社会を構築し地球温暖化を防止する基本となるのである。
地球温暖化に伴い森林に与える影響も大きく、例えば気温が平均2℃上昇すると、北部日本では緯度にして約2度、南部日本では約3度ほど暖かさ指数が北上すると言われている。これは札幌が現在の高山市くらいの気候に変わる事となり、同一種類の植物の分布可能な気候帯(植物の生存に適した場所)が緯度方向で(南北方向に)300km移動し、垂直方向で(海抜で)300m変化するとい われている。種子植物の植生の移動速度は年間約1km程度であり、温暖化による気候の変化に、種子植物の移動がついていけない恐れが出て来る。移動植物は繁殖しつつ移動するため、繁殖可能な時期に達するまでの期間の短いものほど移動速度は大きいと推測され、繁殖可能な時期に達するまでの期間の長い、つまり移動速度の 小さい種は、気温の上昇に追い付けず、あるいは南方や低地からの他種の追い上げにより消滅する可能性が出てくるのである。
また現在の日本では森林面積の40%が人工林である現状では温暖化によって絶滅する種が自然の森林の場合よりも多くなる。
気温の上昇に追い付ける、追い付けないにかかわらず、今日の日本においては市町村域、 農耕地、自動車道、人工林などが一般の植生を分断しているため、繁殖力のある極めて一般的な植物であっても移動の経路を確保することはたやすくはない。特に森林面積の40% が人工林と化した現状では温暖化によって絶滅する種が自然の森林の場合と比べて多くなると予測される。
植物は動けないので、環境が急速に変わるとその場で絶滅する恐れがあり、動物は移動 できるので植物よりも影響は少ないように思える。しかし、食物連鎖などの連関を通じて気候変動による植物生態系の変化の影響が動物に及び、特に変化の激しい場合には動物 種の絶滅の危険もある。また、都市化などの人間の開発行為の結果、動物も生息地が分断されているので、気候変動が進んだ場合、動物も移動できない可能性が高いと見られる。
地球規模で見ると、海面が上昇して数多くの島々が海に沈むと予想される。特に、マーシャル諸島や低地の多いバングラデシュでは大きな被害がでる。また、温暖化は異常気象を招き、地球上の各地で水の循環が影響を受ける。この結果、洪水が多発する地域がある一方、渇水や干ばつに見舞われる地域も出てくる。こうした気候変動は世界的な農産物の収穫にも大き
42
な影響を与え、国際相場が大きく変動する。とりわけ食糧の輸入依存度の高い日本への影響が心配されるのである。
木って素晴らしい(木の特徴)
香りのモトはなに
木材の香りはなんなのでしょう?
いい香りとそうでないものがあるのがありますが、それぞれの材質によって、樹脂、芳香油、テレピン油などの含有物質の質と量が異なるからなのです。特に香りが強いのは、桧、ヒバ、杉などです。経験から言ってレッドシーダーはそんなに強くなく、それでいて神経を休める匂いがあります。
楢と樫
日本人はこれまで広葉樹の類いはあまり好きではありませんでした。植林は杉・檜に 代表される針葉樹であり、広葉樹の山は「雑木林」に格落ちします。ブナにいたっては漢字で木偏に無と書いて木の内には入らないと言う考えでした。楢の木の生えている楢山はおじいさん、おばあさんの姥捨ての山です。ところが、ヨーロッパへ行くとオークは最高の木材であり、「オーク勲章」であり、「戦艦ロイヤルオーク」であり、「オークスピリット」で頑張ろう・・・ってな具合です。と言うことで、明治時代に辞書を作った日本の翻訳者は「これだけ人気のあるオークと言う木は、あの箸にも棒にもかからん楢の木であるはずがない」と思いこんで「樫の木」と訳してしまいました。
オークと聞いて「楢」でなく「樫」と思われた人は昔の教育を受けられた方です。
木材は太陽エネルギーの貯蔵庫
太陽から地球に降り注ぐエネルギーの量は大昔から変わりませんが、地殻におけるエネルギー収集は何回かの氷期で示されるように変動してきました。産業革命以後、化石燃料の消費にともなって大気中の炭酸ガス濃度が上昇を続け、現在地球は温暖化に向かっているのはだれもが知っている事実です。地球が温暖化することによって砂漠化、海
43
水レベルの上昇などを引き起こし、これは人類生存の危機です。大気中の炭酸ガスの固定は一部は海水などへの溶解によって行われていますが、大部分は光合成による植物体への転換によって行われているのです。大気中の酸素のほとんどが光合成によってつくられています。自然界において、木材は他の植動物に比べ腐りにくく、エネルギー値が高いので、すぐれた太陽エネルギーの貯蔵庫です。地球環境保全の観点からみれば、このエネルギーを貯蔵したまま木材を使うことが大事です。木材が分解して太陽エネルギーを放出しないようにする技術、つまり、防腐、難燃化、耐候化などの技術は地球環境保全を考えてもとても重要です。
森林浴するなら針葉樹林、広葉樹林のどっち
森林浴とは、針葉樹の森林に入ってその空気を吸い、また全身に浴びることをいいますが、それが単にさわやかな気分というだけだなく、人間の身体に大変良いというのです。森の中いると、実にすがすがしい気分になり、空気もなぜかおいしく感じたりします。木の光合成によって出される新鮮な酸素がいっぱいあるとか、大気中の汚染物質を樹木がエア・フィルターのように吸着してくれるからでしょうか。森の外気温に比べて最高気温は低く、最低気温は高いことで夏涼しく、冬暖かいということもあります。あと湿度も少し高く、しっとりとした感じがします。快適で心身ともにさわやかな気持ちになるのでしょう。樹木から出る香りの中に、ある種の殺菌作用のあることが、近年明らかになってきており、これらが森林浴ブームの大きな一要因になっていることは言うまでもありません。トーキンという学者は早くからこのことに注目をして、「フィトンチッド効果」を提唱しました。樹木から発散される物質(樹木特有の匂いのもと)には殺菌作用があり、たとえばマツやスギはジフテリア菌を、モミは、百日咳ビールスなどを、カシはコレラ菌などを、ユーカリは流感ビールスを退治するという効果があります。この殺菌効果のある微生物質をフィトンチッドと呼ぶのですが、フィット(phyto)は植物、チッド(cide)は殺すという意味をもっています。現在、世界各国で、循環器系の病気療養に森林を利用しようとしたり、森林療養地などが考えられています。日本でも、昔から転地療養ということが行われていて、高山地の気候は貧血や結核回復者などに、低山地の気候は、バセドウ氏病や気管支病の患者によいとされています。これも、きれいな空気と林間での療養が、偶然にも長期の森林浴になっていたのでしょう。
44
ところで、どの程度の森林にどれくらいのフィトンチッド効果があるのかについてはまだあまり詳しいことはわかっていません。世界最大の針葉樹の森にはいると、時として嫌悪感を催すことがあるそうで、これはフィトンチッド効果が過剰なためだろうと考えられています。最後になりますが、森林浴にはなぜ針葉樹林だけがいいのかというと、答えはいたって簡単で調査が行われたのは針葉樹林についてのみで、広葉樹林の方はまだ調べていないから何とも言えないのです。
山の木と水って関係あるの
山の木には水資源を守る働きがあります。だから山の木を伐りすぎると洪水を招くこともあります。山の森林の土壌は柔らかく、水分を保持しやすくなっています。よく整備された森林の土壌なら、1時間に100〜150mmの降水を貯留することができます。このため、豪雨や雪どけなど、一時的に水量の増えるときには、その水をいったん吸い込んで貯え、今度は徐々に流出させますから、河川の洪水を防ぐことができます。逆に、小雨時にも、徐々に流れ出るみずによって河川は枯れず、ほぼ一定の流量を保つことができます。森林(土壌)のこうした働きを、「水源涵養(かんよう)機能」といいます。森林に降った雨は、その25%が蒸発し、樹木が吸収するのが15%、残りの60%は流れ出て行くわけですが、半分以上の35%がいったん森林の土壌中にとどまり、徐々に地下水として、また河川の水となって流れていきます。ところが、これが裸地の山の場合、森林土壌に吸収されたり、木の葉や枝による蒸発効果はほとんどないので、半分以上が降雨直後にそのまま流出します。したがって、大雨のときには洪水や鉄砲水といった災害に結びつきやすいというわけです。一方、雨のないときでは、徐々に流出する水分がわずか5%なので、これまた渇水(かっすい)という事態を呼び起こしてしまいます。日本は、世界でも有数の多雨国であるうえに、地形からしても、細長い国土に高い山が多く、自然河川は短く急ですので、洪水の危険性が常にあります。その反面、人口が多いため一人当たり降水量は少なく、すぐに水不足になりやすいというジレンマに悩まされています。このほか、森林土壌には天然の濾過(ろか)装置として水質をきれいにする働きがあります。つまり、山の木と水はとても大切な関係にあります。
45
自然を自然に保つための木の働き
樹木の葉からの蒸散は気孔を通して行われる。落葉広葉樹では一般に葉の裏に1平方ミリメートル当たり50から300個の気孔をもっている。氷が水になる時は80カロリーのエネルギーが大気から奪われる。氷に近づくと涼しいのはそのためである。1グラムの水が葉から蒸散する時に540カロリーのエネルギーを大気から奪う。
直径20センチ程度の樹だと、夏の晴天日では1日20〜30リットル(キロ)の水が蒸散として大気へ放出される。木の下にいると涼しいのは木陰による影響だけでなく、葉から多量の水が蒸散して大気温度が低下するからである。
また、葉からの蒸発や蒸散によって大気へ放出される水は大変きれいである。大気の粉塵や、葉に付着したゴミ等を洗い落とした雨水は土壌水となる。葉は、その土壌水を再びきれいな水にして、大気へもどしているのである。
夏の晴天日での1日当たりの森林からの蒸散量はヘクタール当たり30トンと非常に多い。従って、森林はきれいな水を大気へ放出するポンプの役目を果たしている。都市に緑があることは、ヒートアイランド化を抑制させているといえる。このことからも都市の緑の重要性が指摘される。
渓流をきれいにする渓畔林
沢筋の樹木は蒸散を盛んにして土壌水中の窒素やリンを吸収するため、渓流の富栄養化を防ぎ水質浄化機能に有効である。最近では、牧場や耕地と河川の間に渓畔林を育成させることによって、牧場や耕地から流出する窒素肥料などの窒素養分を樹木に吸収させ、河川水質の窒素濃度を低下させる効果が明らかになっている。
渓畔林は水土保全、水質保全、水源かん養機能、レクレーションや保健休養林として重要であり、また渓畔林を構成する多くの樹種は材質がよく用材としての利用価値も高い。
森の生き物を育むブナ
今から100年程前まで、日本列島の積雪帯は、豊かなブナの森で覆われていた。 昭和に入ってから、全国のブナは“役に立たない木”という誤った認識により、人の手によって大量に乱伐されてしまった。 斑尾高原一帯も、豊かなブナの森に覆われていたが、この土地一帯を牧場として使ったこと
46
やレジャー開発等によって、かつてのブナの森は、かなり減少したのである。 しかし、斑尾山頂付近を中心にした山々、斑尾高原の南斜面、そして赤池・袴岳周辺にはまだ多くの素晴らしいブナ林が残っている。 「ブナの大木1本は、水田1反歩(約1,000u)の水を養う」と言われるように、ブナを始めとする落葉広葉樹林は、針葉樹林の約5倍にも及ぶ水資源を涵養することができると言われている。
このようにブナの森は、自然の巨大ダムとなり、治水や水源を涵養することで山の自然と森の動物や人々の生活を守っているのである。
又、豊かなブナの森は、多くの山菜や木の実やキノコ等を産し、森の生き物たちを育むと共に、はるか縄文の時代から人々の生活と共にあった。
そんな偉大なブナの木々たちを、四季を通じて、改めて見つめてもらいたい。
ぶなについて
通常は、「山毛欅」の字を当てる。
「?」「 」は、俗用である。
ブナの実は、円錐形でソバの実に似ていて食べられることから「ソバグリ」の名もある。
属名「Fagus」は、ギリシャ語の「Fhago」(食べる)に由来するもの。「ソバグリ」同様の理由による。
ここからヨーロッパ大陸に於いてもブナは、古くから人の生活に密着した木であることが伺える。
方言としては、「ノジ」「ノジイ」「オモノキ」(母を意味する朝鮮語に由来すると言われる“オモ”つまり森を育む母なる木)、「ブンナ」「ブンナグリ」などがある。
ブナの語源として有力なのは、ブナの林では吹く風に時折“ブーン”と言った音を立てるところから「ブンナリノキ」が転じて「ブンナノキ」、さらに転じて「ブナノキ」となった。
ブナの寿命
ブナは、400年〜500年の寿命がある。
47
ブナが開花するまでには少なくとも40年〜50年がかかり、結実するようになるには、さらに20年〜30年の歳月が必要です。つまり60年〜80年の長い年月を経てようやく実を結ぶようになるのである。
結実の仕方が特徴的で5年〜7年に一度、木の下の地面を覆い尽くすかのような大量の実を落とします。
これには小動物とブナの実の関係がそうしているようだ。
ブナの実は、タンニン(ミズナラやカシワ等のドングリにはタンニン等の有毒成分が含まれていて小動物などに食べにくいようになっている)などの有毒成分を含まず、タンパク質を多く含む栄養豊かで美味しい食べ物で、小動物は、ブナの実を好んで食べる。
特に野ネズミは、ブナの実を食べ大量に発生すると言われている。
ブナは、こうした大量発生を自然に減らし、我が子孫を残すために5年〜7年という比較的長期の隔年結実を行う戦略をとっていると言われている。
“アガリコ”って何?
アガリコは主に山形県の方言で上に上がっていく木という意味らしい。
1〜3メートルの高さまでは一本の太い幹で、その上から急に数本の幹に分かれた不思議な形をしたブナの木のことである。
昔、雪国の山郷に暮らす人々が残雪の時期にブナ林に入り薪や炭焼きに使うため木を切っていた。残雪時の引き締まった雪の上は作業しやすく、ソリを使って大量の切り出しができた。
切られた樹木は枝や幹から萌芽を出そうとし、切られた刺激により成長ホルモンが分泌され樹液を出し、新たな芽が多数発生する。傷口をカサブタが保護するごとく、瘤状の形状に膨らんだり奇形を発生する。
形はいろいろあるが、伸びよう生きようとするブナの声が聞こえてきそうなほど、生命力を感じる。もちろん人の手によるものばかりではない。豪雪に耐えられずに枝を落としてしまうものもある。
現在の開発により根こそぎ伐採してしまうと生態系にもおおきなダメージを与えるが、古き良き先人たちは最低限のものしか搾取していないこともすばらしく思える。
48
フィトンチッドってなに
緑にあふれた森林のなかに入って行くと爽やかな空気が広がる。そしてしばらく歩いているとかすかな香りに気かつく。このいわゆる森林の香りの正体が“フィトンチッド”である。これは森林の植物、主に樹木が作りだして発散する揮発性物質で、主な成分はテルペン類である。そして揮散している状態のテルペン類を人間か浴びることを森林浴と言う。森林浴も最近ではずいぶんと私たちの生活の中に定着してきたようである。フィトンチッドはまさしく森林の精気である。
フィトンチッドの主な3効用
リフレッシュ森林浴の爽快感はだれでも知っていると思う。 自律神経の安定に効果的と言われ、肝機能を改善したり快適な睡眠をもたらすことも知られている。消臭・脱臭森林のなかに入ると爽やかな空気が広がるのはフィトンチッドの消臭作用であり、身近な生活臭に効果的である。抗菌・防虫食品への防腐、殺菌を始め、部屋や浴室のカビ、家ダニや白蟻などへの防虫にも効果的である。抗菌作用は人体を蝕む病原菌にも有効である。人体に安全な天然物質だから、副作用の心配がなく穏やかに作用 するのである。
健康で豊かな生活のために
現代のように科学技術が急速に進歩し、また社会が高度に複雑化したことによって、人間は疎外感や不安をつのらせ、原因がはっきりしない頭痛や不眠、神経過敏などの症伏を訴えたりする。心理的なストレスが健康体を蝕む現代病とも言える。また大気汚染や都市の一極集中、住環境の変化などが重なりあって、さまざまなアレルギー疾患が増加している。これらの解決、ストレスの緩和やアレルギーの予防などにフィトンチッドが果たす役割は大きいと言える。フィトンチッドに対する関心の高まりによって自然と調和した生活を取り入れる土壌が育ち、フィトンチッドを有効に活用するための多くの活発な研究が重ねられ、産業界においても積極的な利用がなされることによって、健康で豊かな生活が実現されることだろう。
49
フィトンチッドを発見したのはだれ
樹木か光合成を行うことは衆知のことである。樹木か生きていくために必要な基本的な活動で、太陽の光エネルギーを利用して炭酸ガスと水から炭水化物を作り酸素を放出している。さらに樹木は二次的にフィトンチッドなどの成分を作りだす。フィトンチッドには、昆虫や動物に葉や幹を食べられないための摂食阻害作用、他の植物への成長阻害作用、昆虫や微生物を忌避、誘因したり、殺虫、殺菌を行ったりするさまざまな働きがある。土に根さして生きる樹木は移動することができない。そのため外敵からの攻撃や刺激を受けても避難できないので、フィトンチッドを作りだし発敢することで自らの身を護るのである。1930年頃旧ソ連のB.Pトーキン博士はこの植物の不思議な力を発見し、フィトン(植物が)チッド(殺す)と名づけたのである。
人に有益なフィトンチッド
フィトンチッドは他の生物に対して攻撃的に作用するのですが、人体に対しては有益で私たちの生活に広く有益であることは経験的に認知されていた。そもそも森林や木に神秘的で不思議な力があることは昔から良く知られていた。そして日本人はフィトンチッドの持つ効用を生活の智恵としてさまざまな形で活用してきたのである。たとえば柏餅や柿の葉寿司はフィトンチッドの抗菌作用や防腐効果を利用したものであるし、五月の節句の菖蒲湯はフィトンチッドの疲労回復と精神を安らかにする効果を活かしたものである。まろやかな味と防腐効果のために日本酒の樽に杉材を用いたり、白蟻などか寄りつかないように家を建てるときにヒノキやヒバの材を使ったり、いろいろな工夫や応用がなされている。こうした長年の経験から得られた智恵か近年になって科学的な視点で見直され、さまさまな成果をもたらしている。
森林生態系に重要なフィトンチッド
森林のなかでは生き物どうしがさまざまな交流を行っている。なにも競争だけではないのである。仲間どうしで団結したりお互いに助け合ったりすることもある。なかには寄らば大樹の陰を決め込んでいるちゃっかり者もいる。こうした森林のなかでの賑やかな交流はフィトンチッドのような生体成分を通して行われている。樹木が作りだし発
50
離するフィトンチッドは自らの身を護るだけでなく、他の生物にさまざまな生理作用をもたらすからである。森林のなかで行われているさまざまな交流の構造や仕組みを森林生態系と呼ぶが、フィトンチッドは森林生態系のなかで大変重要な役割を果たしていると言える。
精油の抽出とフィトンチッドの今後の利用
フィトンチッドを利用するためには樹木の葉や材から蒸留などの方法で精油を抽出する。精油を抽出する隙には、間伐材、廃材や製材時に出るおが屑などが使われる。こうして採取された精油は、食品に使われる香料を始め芳香剤、入浴剤、石曲、化粧品、育毛剤や口腔内消毒剤などの生活雑貨品もしくは医薬部外品として、さらには消臭剤や酸化防止剤として用いられる。また消炎剤、去痰剤、健胃整腸剤などの医薬品の原料としての利用も進められている。
これらの利用は人体に有効な成分を濃縮して内服、経皮という形をとるが、近年になって、空気中に放出され拡散したフィトンチッドが人体に好影響を及ぼすことがわかり、古くから伝わるわが国の書道(聞香療法)や西洋のアロマテラピー(芳香療法)が注目されるようになった。いわゆる香りの効用と言えるもので、現在でも多くの研究が進められている。こうした傾向は森林浴の定着と無関係ではなく、現代のようなストレス社会ではストレスの緩和と心に安らぎを与えてくれるものを人間が本能的に求める結果とも言えるであろう。
したがって今後フィトンチッドは臨床への応用や院内感染対策などの医療現場での活用、建材や空調への応用による居住環境の改善など幅広い展開ガ期待される.さらに合成農薬はその残留性が環境や人間に悪影響を及ぼし深刻な問題となっているが、天然殺虫剤や天然農薬の開発にフィトンチッドの果たす役割は重要である。また畑作物や果実の収積量増加のために利用するなどフィトンチッドヘの期待は高まるばかりである。
偉大な森林を護り、健全な森林を育てるために
今日の経済繁栄は、猛烈な速度で進展した技術革新と大量の化石資源を消費する産業構造とに支えられて実現したと言える。この繁栄が人間の社会に近代化をもたらしたことは
51
否定できない。平たく言えば私たちの生活をたいへん便利にしたわけである。しかしその一方では、地球温暖化、オゾン層の破壊、熱欝雨林の減少、砂漠化、酸性雨などの探刻な環境問題を抱えることになった。これらの問題はわが国のみならず地球規模で取り組まなければならない課題である。地球温暖化は二酸化炭素の濃度が増加することによる。文化的な生活をし、生活水準が高くなるにつれて二酸化炭素は増加すると言われるが、その原因は化石燃料の大量消費と森林破壊とに大別できる。さらに森林破壊は焼畑、放牧、商業伐採、酸性雨、乱開発といったすべて人為的な原因によるものである。森林には、気象環境の緩和、水資源滋養、自然災害の防止、防火、防風、防霧、騒音防止、大気浄化、野生動物の保護、保健休養、風致保全、教育の場などさまざまな働きがある。これらの一つ一つが人間の生存に大きく影響していて、欠かすことができない。また森林は文化の形成や都市文明の盛衰にも深く関わってきた。わが国は典型的な森林依存型の文化圏に位置し、古くから『木の文化』を育んできたところである。森林を敬い身近な生活のなかに森林の恵みを巧みに取り入れてきたのである。国土の約7割を森林で占める森林大国のわが国が、地球規模で解決すべき環境問題に取り組むためには、森林が持つ公益的機能や多面的価値を再認識し森林文化を継承すること、すなわち森林を保護し、健全な森林を育成することが必要だと言える。多くの人々がフィトンチッドへの関心を通じて森林や木に親しみ、森林の偉大さや大切さを再認識することが、森林を護り健全な森林を育てることに繋ると考えられる。
森林の遷移(「森を創る 森と語る」稲本 正 編)
木には役割分担があり、それは野球の投手と同じで、先発・中継ぎ・おさえと言う具合に分かれているのである。
日本では一般には荒れ地にまずマツ科やカバ科(シラカンバは、パイオニアプランツと言われる)がパイオニア(先発)として現れることが多い。その後にナラやクリが現れ、更にそれらが土壌を豊にすると、トチノキなどが加わり、最後にブナがアンカー(おさえ)として締めくくることが多い。ブナ林になると安定してそれ以上遷移しないので「ブナは極相林をつくる」等と言われる。
52
モミジ(紅葉)とカエデ(楓)の違い
カエデのことをモミジと言いますが、元々モミジとカエデは別の意味を持った言葉だったそうである。モミジは紅葉の漢字を当てるように、秋に黄色や赤色に変わる事を意味する動詞の「もみづ」が名詞化したもので、特に目立って色を変えるカエデ科の仲間を「モミジ」というようになったと言われている。モミジの語源は葉がモミ(赤蛙)の手に似ている事からモミデが転じてモミジに、カエデは葉の形が蛙の手に似ていることから、カエルデが転じてカエデになったと言われている。園芸上、カエデとモミジを区別する事がありますが、植物分類上は同じ種類として扱われます。イロハモミジやヤマモミジのようにモミジの名が付く種類は葉が鋭く深裂したものが多く、イタヤカエデやウリハラカエデのようにカエデの名が付く種類には、葉の分裂の浅いものが多いようだ。斑尾高原ではいずれの種類も見る事が出来る。カエデ科カエデ属の中にはヒトツバカエデのように葉に切れ込みの無いもの、ミツデカエデのように三小葉の複葉からなるものなど様々で、葉の形で区別できるものではない。カエデ科の樹木は葉が対生すること、果実は翼を持ったプロペラ型になるなどの特徴を有している。
モミジとカエデ
カエデ科カエデ属に属するもので、高木又は小高木である。世界には北半球の温帯を中心に、亜寒帯から熱帯の山地まで150種ある。
このうち日本には26種が自生している。
イロハモミジ、ヤマモミジ、イタヤカエデ、ハウチワカエデ等モミジやカエデと名が付く種類の木は、皆同じ仲間である。
殆どが落葉広葉樹(希に常緑樹あり)で、果実が特徴的で「翼果(ヨクカ)」であり、両翼に2個の分果となっている。逆に言えば、翼果がなっている木を見たら「モミジかカエデ」だと思って良いと言うことである。
名の由来について、「モミジ」は、黄葉や紅葉の漢字を当てるように本来は、秋に草木が色づくことを意味する動詞の「もみづ」が名詞化したもので、これが転じて、特に目立って色を変えるカエデの仲間をモミジというようになった。「木の名の由来」
53
また、「カエデ」については、「和名抄」や「万葉集」において、このカエデの木について、古くは“かえるで”といった。つまり葉の形がカエルの手に似ているからの名である。
カエデ科の樹木の内、葉が掌状に切れ込んだものを全てこのように呼んだらしい。
園芸上は、モミジやカエデを分類するが、植物分類上は、同じ意味に用いる。「木の名の由来」
斑尾高原のカンバ類
斑尾高原には4種のカンバ類(カバノキ科)が自生しています。
シラカンバ、ウダイカンバ(マカバ)、ダケカンバ、ヤエガワカンバである。
シラカンバ(シラカバ) 白樺
伐採跡地や焼失した跡地にいち早く姿を現すパイオニアプランツ 木肌が白く非常に綺麗である。
ウダイカンバ(マカバ、サイハダカンバ)鵜松明樺
斑尾高原には多い木である。4種類のカンバの中では葉が一番大きい(10cm前後のハート形)また、材質がカバノキ科の仲間では最も質が良く、「マカバ」(真のカバノキの意)と呼ばれる。北海道では植林されている。建築材料等になる。
名の由来は、漢字名の通り鵜飼いの松明にこの木の皮を用いたところから来ているらしい。
松明にするほど油分が多く、長持ちする。また、「マタギ」は、猟に出かける時には必ずこの皮を懐に忍ばせていて、雨で濡れた時にも容易く火を起こしたと言われている。
ダケカンバ(ソウシカンバ)岳樺
本州以南では亜高山帯の日当たりの良いところに生育する。シラカンバより高いところに生える。
名の由来は、標高の高いところに生えることから「岳樺」の名前が付いた。
54
また、「草紙樺」は、樹皮が紙のように薄くはがれることによる。色紙や書物の表紙に利用された。材質は固く、質の良いものは雑カバ材或いはサクラ材として家具材に利用される他建築材や器具材に使われる。
ヤエガワカンバ(コオノオレ)八重皮樺
分布は、北海道、本州中部地方以北、ウスリー、アムール、朝鮮半島、中国東北部と、寒い地方であり、山地の日当たりの良いところに自生する。
名の由来は、樹皮が幾重にも剥がれるところから来ている。
環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されている。
食べ物に葉っぱが何故使われるのか
端午の節句に柏餅を食べる習慣がありますが、この“柏(カシワ)”の語源は、食べ物を盛ったり、蒸したりする時に使われた葉を「カシキハ(炊葉)」といい、このことに柏の葉を多く用いたからではないかと言われている。
食べ物を葉っぱで包むということは古く昔から行われてきましたが、何故だろう。
ひとつは、見た目の美しさや葉っぱの持つ独特の香りなどから使われてきたのだろう。
もう一つ木の葉は、優れている点がある。抗菌性(カビをおさえる。腐りにくくする)である。
柏の葉にはオイゲノールという抗菌性の成分が含まれています。(シナモンや丁字にも多く含まれている)
また、クマザサには、合成保存料として広く使われているソルビン酸カリウムが含まれている。
独特の香りがする桜の葉には“クマリン”という物質が含まれていて、この物質にも抗菌性がある。ですから桜餅などを作るのですね。
このように木の葉には抗菌性を持ついろいろな物質が含まれているため、古くから食べ物に木の葉を使ったのであろう。
森林浴の効果
森林浴の効能は古来より世界中で知られてきた。近年、その効果が科学的に実証され、森林の自然を活用した医療、リハビリ、カウンセリングといった、心と体の健康に応用されつつある。
信濃毎日新聞(10.14)より抜粋
森林浴でがん抑制「免疫細胞が活性化」・林野庁など飯山で実験立証
白血球の一種で、がん細胞を攻撃する血液のNK(ナチュラルキラー)細胞の働きが森林浴で高まる事が13日、林野庁と日本医科大などが飯山市内で行った実験で分かった。
ストレスの少ない生活がNK細胞活性化させることは知られており、実験結果をまとめた日本医科大の李卿講師は「森林浴がストレスを解消し、がん抑制につながることがデータから立証できた」としている。
実験は東京都に勤務する30〜50歳代の男性会社員で、長時間勤務をしているなど疲労やストレスがたまっていると見られる12人を対象に実施。9月上旬の3日間、飯山市郊外の森林遊歩道(3.5Km)を初日に1回、2日目に2回歩いてもらった。
出発前と滞在2日目、3日目の計3回血液を採取。NK細胞が壊すがん細胞の割合で示すNK活性化率の平均値を比較した結果、出発前に比べ2日目は26.5%、3日目は52.6%増えた。
実験では、NK細胞ががんを壊す武器となる3種類の抗がんたんぱく質が森林浴後に増えたことも確認した。 実験は、林野庁などが健康面に効能のある森林遊歩道を セラピ−ロード として認定する活動の一環。
55
56
森林浴の効果(レッツウォーキングcomより抜粋)
独立行政法人森林総合研究所では森林浴の効果に対する2つの実験が行われました。
「森林系環境要素がもたらす人の生理的効果の解明」
「森林セラピーの生理的効果の科学的解明」
生理的作用(NK活性)の実験
1の生理的効果は森林浴でNK細胞が活性化するかを調べた研究で、日本医科大学衛生学公衆衛生学の李 卿(り けい)氏らが取り組んだ実験です。
実験方法はストレス状態にある東京都内大手企業に勤める37〜55才の12名男性社員に、長野県飯山市の森林散歩道で3日間滞在してもらい、森林浴の前後にNK細胞の機能が活性化するかを調べたものです。結果・1日目26.5%、2日目52.6%もの活性化が見られ、NK活性が増強されたという結果が現れました。
森林セラピーの生理的効果
2は森林セラピーの効果について調べた実験で、(独)森林総合研究所 生理活性チーム長宮崎良文氏らが取り組んだ実験です。
実験方法は、男子大学生12名を、6名の2群に分けて、森林部・都市部それぞれに滞在した際の、生理的状態の測定を行い、 1日目は森林、2日目は都市部というように班を入れ替えて唾液・血液などを採取し実験を行ったものです。 結果
セラピー候補森林において(都市部に比べて)リラックスしたときに高まる副交感神経活動が昂進し、ストレス時に高まる交感神経活動が抑制されること
セラピー候補森林において、代表的なストレスホルモンである(唾液中)コルチゾール濃度が低下すること
という実験結果が分かりました。
まとめ
この結果により、森林浴を行うとストレス解消や癌の予防につながる細胞が活性化されることが分かりました。 都会の人にとっては自然に触れるのは大変なことですが、意識的に公園によるとか、思い切って休みの日は郊外に出かけるなどして意識的に緑を取り入れてみてはいかがでしょうか
57
葉は何故緑色か
植物を緑色にしているのは葉緑素である。葉緑素は別名クロロフィルとも呼ばれ、植物の体のなかに含まれる緑色(太陽光線の内、緑色を透過させず反射する)の色素である。
植物の体を作っているタンパク質、そして植物を緑色にしている葉緑素(クロロフィル)は、どちらも主に、炭素、酸素、水素、窒素の4つの元素から作られる。植物は空気中の二酸化炭素(炭素+酸素)と根から吸い上げる水(水素+酸素)を使うことができるから、最初の3つの元素は自然に得られることが多いが、窒素は、別に根から吸収しなくてはならない。窒素が足りないと、タンパク質やクロロフィルが少なくなり、成長が遅くなったり、色が薄くなったりする場合がある。また、クロロフィルは先ほどの4つの元素の他にマグネシウムを持っている。葉緑素を作るのにマグネシウムがないと葉緑素は出来ない。だから、マグネシウムが不足した条件でも緑色が薄くなることがあるのが知られている。
自然治癒力を発揮させてくれる元は葉緑素
葉緑素の効能で良く知られているのは健胃健腸作用ですが、その他にも脱臭作用や殺菌効果、さらには身体の免疫を強くするインターフェロンを増やす作用があり、皮膚疾患、火傷の回復促進作用など多くの働きをする。また葉緑素は不消化物ですが体の中を通過する際、コレステロールや有害な物質を体外に排出してくれる。中でも葉緑素は問題になっているダイオキシンを体外へ排出する効果が高いことが報告されている。ただし、取りすぎは必要な栄養素まで排泄してしまうので気をつける必要がある。
紅葉と落葉
落葉
樹木は、常緑樹と落葉樹とに大別される。
落葉樹は、寒季又は乾燥季の前に一斉に葉を落とす。春に発芽し、夏の間盛んに光合成を行った葉は、晩秋に落葉する。生育に適切な季節には盛んに活動するが、生育に不適な時期には一度に落葉して、休眠芽や冬芽の形で休眠する。
58
常緑樹は、常緑といっても全く落葉しない訳ではない。葉も寿命は短いもので1年数ヶ月、長いものでは5年あるいはそれ以上になり、毎年新芽が展開しては古いものから落葉していく。落葉樹に比べると、この現象は目立たない。常緑樹の中にも、ユズリハ・クスノキなどは、新芽が展開した後、初夏の頃に一斉に落葉するが、それは一定の寿命を終えた葉である。
落葉とは、古くなった葉が枯れ落ちるという植物の老化現象の一種で、植物にとっては大変重要な生理作用である。葉が老化し、枯れて脱落する前にたんぱく質や葉緑素などの細胞内容物が分解され、その構成成分である窒素、リン、カリウムなどの栄養素が、種子や地下茎などの貯蔵器官に転流され再利用されるのである。
落葉の原因は複雑で、温度、光、湿度などの外因と遺伝性、代謝、栄養条件、形態学的条件などの内因が相互に関連している。秋が深まり、日照時間が減少し気温が低下してくると、代謝の仕組みが変化し、養分が茎の方に転流し、クロロフィルが分解され消失する。そして葉は落葉して捨て去られる。
落葉期になると葉身又は葉柄の基部に離層が形成され、そこが離れる。
紅葉
紅葉の色はその植物によって、赤くなるもの、黄色くなるもの、褐色になるものがほぼ決まっている。
ヤマモミジ、ハウチワカエデ、トウカエデなどのカエデ類の多くは赤くなります。紅葉は「もみじ」と読むように、最も美しいカエデの事を指す。
黄葉する植物の代表はイチョウであるが、ポプラ、プラタナス、ニセアカシアなどの街路樹があり、カエデ類のなかにもイタヤカエデ、ヒトツバカエデのように黄葉するものもある。
褐色に変化する葉は、ブナ、ミズナラ、コナラ、クリなどのブナ科に多く見られる。ダケカンバ、シラカンバ、ウダイカンバなどのカンバ類、ケヤキ、トチノキなども褐色になる。
樹木だけではなく、蔓植物や草花の中にも紅葉する植物がある。ノブドウ、ゲンノショウコ、キンミズヒキ、高山に分布するハクサンフウロ、チングルマ、などもあかくなる。
紅葉は、アントシアンによって起こる。アントシアンは、葉の蛋白質が分解されてできるアミノ酸の一種が複雑な反応を経て合成されと考えられている。
59
老化する以前の葉には、緑色の本体であるクロロフィルという色素が多量に含まれており、このほかに黄色の色素であるカロチノイドが少量含まれている。カロチノイドは黄色色素の総称であり、葉にはカロチン類とキサントフィル類がふくまれている。
秋に緑葉が黄変するのは、葉緑体の解体に伴ってクロロフィルが分解し、カロチノイドが残るためである。
美しく紅葉するためには、温度、光、湿度の3条件が必要である。一般に、最低気温が8℃以下になると葉は色付き始め、5〜6℃以下になると急に進むといわれているが、更に日中は温暖で夜間に急激に冷え込むと、美しい紅葉が見られる。また、空気が澄んでいて、葉が十分に日光を受けることも必須条件である。微妙な気候のバランスにおいて、紅葉の色付き方がきまり、その年の雨量や日照量、台風などが紅葉に影響を与えている。
花色の不思議(花色はなぜ色々あるのか)
植物は花粉を運んでくれる虫や鳥を呼び寄せるために さまざまな工夫をしています。花の色もその工夫のひとつで 虫や鳥にアピールするためにさまざまな色の花がある。
花の好みは十人十色、動物が好んで訪れる花は動物の種類によって少しずつ異なる。その原因のひとつは 彼らの花の色や香りに対する好み、視覚や臭覚を通して花を認知する能力に違いがあるためである。
また動物には人間には見えない波長の色(紫外線とか赤外線とか一括して呼ばれている)を色別することができる。
昆虫の世界では、アブは春になるといち早く動き始め、黄色を好んでやってくる。また春の野にはたくさんの黄色い花(菜の花やたんぽぽなど)がアブの習性に合わせて群生して咲くようになり、白い色(野に咲く白い花はシンプルにさりげなく咲いているものが多い)を好むのはコガネムシ、紫色はミツバチなどの花蜂が好みこの色の野に咲く花は群生していなくて一つ一つ離れていても密を運んでもらえる。赤はチョウチョ、中でも大型のアゲハチョウは情熱の赤を好む。
このように植物たちは長い年月をかけて試行錯誤しながら虫や鳥などとのかかわりの中で子孫を繁栄させるためにもっとも適切な色を見つけ出していったのだろう。
60
桜の種類
[妖艶の美、桜]
[桜の種類]
[桜の花の観賞の仕方]
[お花見の歴史]
一口に「桜」といっても日本列島東西南北、大きく分類すると9種に分けられ、それらの交配種をあわせて100種以上が野生化、さらにそれらの園芸品種を合わせると300種以上にもおよびます。開花期も1月中旬の沖縄の琉球寒緋桜から始まり、5月下旬の北海道の大山桜や松前桜まで、約4ヶ月あまりも楽しめる。
各地によって桜の表情が違い、朝と夜でもまったく違う顔を見せる。
桜はバラ科、サクラ亜科、サクラ属に属し、さらに細分化するとウワミズザクラ亜属、スモモ亜属、モモ亜属、ウメ亜属、ニワウメ亜属、サクラ亜属に分かれ、お花見用の桜はこのサクラ亜属に属する。
生息地は北半球の温帯地方で日本の他に、インドのヒマラヤサクラや食用の中国原産のカラミザクラはオウトウで有名である。
また、ヨーロッパ中南部、小アジアに自生しているセイヨウミザクラは、山形県や山梨県特産のさくらんぼの原種である。甘酸っぱさが特徴の佐藤錦やダークチェリーの別名をもつナポレオンなどはもうご存知のことであろう。
園芸品種300以上はおおまかに6群に分けることができる
ヤマザクラ群
開花と同時に開葉するのでお花見時は花と葉が混同している。最も多く植えられており、豊人秀吉時代にはこのヤマザクラの下で盛大な宴が催された程、昔のお花見は山桜だった。今も変わらず人気を誇り、特に奈良県吉野山の山すそに広がる山桜は圧巻である。
代表的なものとして
ヤマザクラ
白みがかった薄桃色がとても上品。一つの花は素朴でありながらも群集の豪華さはナンバー1。赤みがかった葉とのコンビネーションも絶妙である。桜にちなんだ俳句や和歌、芸術品もヤマザクラを素材に使用しているものが多い。開花期4月上〜下旬。分布近畿、四国、九州。
61
オオヤマザクラ
ヤマザクラよりも濃桃色。特に静内町の道7kmにも及ぶ桜並木は車窓からでも存分に楽しめる。開花5月上旬。分布北海道。
オオシマザクラ
純白の透き通るような花色。鋸状の葉縁は塩漬けにされて桜餅の葉として利用される。この桜にヤマザクラを交配させてできたものを総称して「里ザクラ」といい数多くの花形があり、北海道の松前早咲き桜は特に有名。またこの桜とエドヒガンザクラを交配してできたものが「染井吉野」である。開花期4月上旬。分布伊豆半島、房総半島の一部。
カスミザクラ
淡桃色の花は遠くを霞ませる程の美花。特に、有名な奈良の八重桜は花弁がいくつにも重なった溢れんばかりの小花は実にすばらしい。開花期4月下旬〜5月上旬。分布近畿地方の山地。
エドヒガン群
代表的なもの
エドヒガン
お彼岸の頃に開花することからこの名がつけられた。下向きに咲く薄桃色の小花は素朴ながら春を告げる花として名が高い。花よりも後で葉が出る。
----補足---
この花とオオシマザクラを交配させた桜が「染井吉野」である。大島桜の見応えのある花形とヒガン桜の丈夫で開花後に開葉する優れた特性が今はお花見といえばこの染井吉野をさすほど不動の人気を誇り、全国至るところで見ることができる。
62
そもそも染井吉野は染井(今の東京巣鴨あたり)で植木屋を営んでいた主人が、売れる手段として絶大なる人気を持っていたヤマザクラのスポット、吉野山から採ってきたと言っていたことから後、明治中期に国立科学博物館に勤務していた藤野氏が命名。開花期3下〜4月上旬。分布本州各地。
マメザクラ群
名のごとく小さい子花をつけ、非常に可愛らしいミニザクラ。特にこの桜とヤマザクラを交配させてできた「冬桜」は冬、春と2回咲きする。開花期4月上旬分。布関東甲信地方。
チョウジザクラ群
名のごとく花形が'丁'の字になっている。白花。低木のため、家庭でも楽しめる。開花期3月下旬。分布本州の一部と九州。
ミヤマザクラ群
細い枝に白い小花を咲かせる。開花期5月下旬。分布北海道、東北のごく一部。
カンヒザクラ群
漢字でかくと寒緋桜。緋は濃紅を表す通り、濃紅の小花が下向きに垂れて咲く。桜の開花はこの寒緋桜からスタートする。特に沖縄県の「リュウキュウカンヒザクラ(琉球寒緋桜)」は一番始めのお花見スポットとなる。開花期1月下旬〜2月上旬。分布沖縄県。
クマリン(coumarin)の芳香
植物が持つ芳香にクマリンと言うものがある。やっかいものの帰化植物のハルガヤは、刈り取って乾燥させるとこのクマリンの甘い芳香がする。秋の七草にあるフジバカマも刈り取
63
って半乾きになると同じ香が出てくる。フジバカマが万葉時代に香草として扱われたのもこのクマリンの芳香である。
ところで芳香と言うものの「クマリン」ってどんな香りなのだろう。
一言で言えば「バニラ」の香りだが、私たちの一番身近なところでこの香を放つものは、桜餅で、あの香は桜餅を包んでいるサクラの葉に含まれるクマリンなのである。桜餅に使うサクラの葉はオオシマザクラだが、他のサクラの葉にもこの クマリンは含まれるようだ。もっともサクラの葉の匂いを嗅いでもあの桜餅の香はしない。葉を揉んでみてもだめである。桜餅に使われる葉は塩漬けにして1年ほど寝かしてあるそうだ。このことによってクマリンの香が出てくるのである。クマリンはC9H6O2と言う化学物質だが、生葉の中では他の物質と結びついているので匂いがしないのである。
コブシ(辛夷)とタムシバ
コブシ(モクレン科・モクレン属)
北海道から九州まで分布
名前の由来:集合果が握り拳に似ていることによる
モクレンに似た白い花で葉が出る前に直径7〜10cmの香りの良い白い花を枝いっぱいにつける開花時期:3月中旬〜4月中旬頃、昔の人はコブシの花が咲くと田植えを始めた
タムシバとの区別
タムシバは、日本海側の多雪地帯に多く、花の時期にはコブシとの区別が難しいが、花の直ぐ下に小型の葉が無く、葉はコブシより薄く長い。裏面が白っぽいことで区別する
カラムシ(苧麻)とアカソ(赤麻)
古代から近代まで人々の生活と密着した繊維植物、イラクサ科・カラムシ属
64
アカソ、カラムシ、ヤブマオ等のイラクサ科の植物は古代から衣服の材料として使われ、縄文時代の遺跡から出土した糸の繊維は総て植物性のアカソやカラムシ等であり、絹や木綿等が普及する迄は日本各地で栽培もされていた。
狭義の麻(あさ)はクワ科の大麻(タイマ)の事であるが、広義の麻はアカソ、カラムシ、亜麻、イチビ等を含めた植物性繊維の事で、アカソ、カラムシはタイマと共に縄文時代からつい近年に至るまで用いられ、衣服の材料となった。
アカソは茎や葉柄が赤いので赤い麻と書いてアカソ(赤麻)となり、繊維としてばかりでなく、赤い色を利用して草木染の材料ともなった。 アカソ、コアカソ、クサコアカソの三種類があり、アカソ、クサコアカソは草本であるがコアカソは低木である。アカソの葉の先は3裂するが、コアカソ、クサコアカソの葉は3裂しない。
カラムシはカラ(茎)を蒸して繊維を作ることからカラムシとなったとの説が一般的で有るが、苧麻、真麻とも呼ばれ、古代から重要な衣服の材料であった。 同じ時期にアカソやカラムシと同じイラクサ科のヤブマオも花を咲かせる。ヤブマオは藪真麻、又は藪苧麻と書き、藪に生える真麻(苧麻)で真麻はカラムシの事である。
アカソ、カラムシ、ヤブマオ等の麻の名の付くイラクサ科の植物達は衣服の材料として生活に欠かせない植物であったが、今では雑草として生い茂り、現代人には顧みられないどころか、花粉症の原因のひとつとして嫌われる植物となっている。 大麻(タイマ)も大麻取締法によって生産を制限されており、いわゆる麻(あさ)にとっては住みづらい世の中になった。
カラムシ(草丈1m〜2mの多年生草本)
原野や人里付近に生える多年草で、草全体に短毛が密生する、雌雄同株の植物麻の一種であり、「苧麻」と書く。他に「マオ」「クサマオ」と言われる。
カラムシは、麻より褐色を帯びているが、繊維は麻より強く良質である。
皮を剥ぐときは、麻のようには水に漬けず、生のまま皮を引く。
夜着に仕立てることは無く、漂白して高級織物の素材として使われた。
古くは、カラムシから出来た布は「上布」で正倉院の麻織物の80%は、カラムシである。
65
そして、「越後上布」「小千谷上布」や「信濃布」「信布」と言われる織物は、全てカラムシから作られたものである。
カラムシの名の由来としては、から(茎)を蒸して繊維にしたと言う説が在るが、実際には上述の通り、蒸す事は無く、生のまま皮を剥いて繊維にしたのである。
従ってこの説は有力ではなく、むしろ「ムシ」は、朝鮮語の「モシ」(カラムシのこと)が転じ、「カラ」は、韓からでたものの意と解することが妥当であるようだ。
アカソ(草丈50〜80cmの多年生草本、雌雄同株)
読んで字のごとく茎や葉柄が赤く、麻(ソ)になる植物である。
山地のやや湿ったところに植生し、斑尾高原にも多い。
「ソ」とは、単に麻だけではなく、繊維植物に広く使われた名である。
例 コウゾ(紙麻)、ゴウソ(郷麻)
アカソは、カラムシ同様布にも織られていたようであるが、特に布団などに入れる綿として使われてきた記録がある。
ドングリ
6属600種以上に及び、世界の温帯から亜熱帯に分布する。
学術的に見ると、コナラ属・クリ属・シイ属・ブナ属etc・・・
日本には20種くらいのドングリがあり、形・色・大きさ・模様などでその種類を見分けることができる。
クヌギ・カシワ・ミズナラ・コナラ・ウバメガシ・イチイガシ・アカガシ・ツクバネガシ・アラガシ・シラカシ・ウラジロガシ等の木の実である。
実の半分くらいが殻斗(かくと)と呼ばれる殻に包まれ保護されている。この殻斗を一般的には帽子と言っているが、これが”ドングリ”の大きな特徴となっている。
落葉樹で森林を構成する重要な木で、材は多くの用途がある。
コナラ属
66
アラカシ、シラカシ、アカガシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ、イチイガシ、ウバメガシ、オキナワウラジロガシ、コナラ、クヌギ、アベマキ、ミズナラ、カシワ、ナラガシワ
シイ属
スダジイ、ツブラジイ、オキナワジイ
マテバシイ属
マテバシイ、シリブカガシ
実りの秋は、虫や小動物たちにとっても、同じこと。ドングリがたくさんなった年は多くの生きものがその恵みを喜んでいることであろう。
ドングリのなる木のなかまは、ナラ類とカシ類に大きく分けられる。
に葉の落ちる落葉性のものがナラで、コナラ、ミズナラ、クヌギ、アベマキ、カシワなど。
にも葉をつけている常緑性のものをカシとよび、シラカシ、アラカシ、アカガシ、イチイガシ、ウラジロガシ、ウバメガシなどがある。
しかしほんとうはドングリのぼうし=殻斗の形や特ちょうで区別をする。ぼうしがうろこ状またはイガ状のものがナラで、横にすじが入っているのがカシのなかま。そうするとウバメガシは常緑であるが、ナラの仲間ということになる。
そのほか、シイと名のつくものは実がそのままで食用になるものである。
カシやシイは、ナラに比べて暖かい地方の木である。コナラやクヌギは、日本がいまより寒かった時代に多かった木で、それを人間が利用することで、残ってきた。同じドングリでも、カシやシイの森とコナラやクヌギの林ではそこにくらす生きものたちが違っている。
虫などの生き物との関係をみると、コナラやクヌギの林にはたいへん多くの生き物が生活している。林と生き物との関係性が、人間が関わることで維持されてきたということもできるかもしれない。
ドングリを食べる動物
67
ゾウムシのなかまはまだ若い実に穴をあけて中に卵を生みつける。
かえった幼虫はドングリを餌に育つ。拾ったドングリをほっておいたら、白い小さなイモムシがぞろぞろ出てきたこともある?
リスやネズミ、ムササビなどの小さなけもの、カケスのような鳥もドングリをえさにしている。これらのけものや鳥は、ドングリをすぐに食べないで、土の中や木の穴にためておく習性がある。
土に埋められて、そのまま忘れてしまったら? 次の年には小さな芽が顔を出すかもしれない。そして何年か後には、ドングリが実るようになるかも。
天然の浄水器・土
水(雨)・土・太陽光によって形成された森林は年毎に枯葉をおとし成長し、やがて自らの生命を終え倒木となり、それぞれが微生物やバクテリアの力を借りて腐葉土となり、土となり森林の新たな表土となる。森に命と潤いをもたらした雨水はこうして形成された幾重もの保水性とろ過能力の高い表土層に吸収され、腐葉土層・腐植土層・砂礫層・粘土層と、ろ過され土中のミネラルなどを吸収しながら高所から低所へ流れ、湧水として再び地表に現れる。又、一部は岩盤の裂け目を伝い地下深くに浸透し、地下水を形成し、多くの地域で伏流水として湧き出し汲み出され、飲用されているばかりでなく、名水としてもてはやされている。空気中の汚れや埃を含んだ雨水が表土や岩の裂け目を潜り抜けて、清水となる。土はまさに天然の浄水器なのである。忘れてはならないのは、森林が浄水能力の優れた土(表土)形成に大きな役割を担っていると云うことである。
常緑樹の落葉
秋になると葉を全部落としてしまう落葉樹と言うのに対し、落葉せずに冬を越す木のことを「常緑樹」と言う。常緑樹は1年中葉を繁らせているので、落葉せずに同じ葉が何年も生え続けているように見えるが、常緑樹の葉も1年に1回落葉し、新しい葉と交代する。春になり暖かくなってくると、古い葉の間から新芽が生えてくる。そしてその新芽が大きく成長するにつれ、古い葉が落ちて、梅雨時には新しい葉と交代する。
68
植物の雌雄
雌花と雄花を別の株につける植物。雌花をつける個体を雌株,雄花をつける個体を雄株という。
雌雄異株−雌雄同株−雌雄同体−雌雄異体
雌雄異種(しゆういしゅ)
一株の花すべてが雄花か雌花だけの植物を言う。雄株には実がならない。
雌雄異株では雄の植物と雌の植物に分かれている。多くの動物が雄と雌に分かれているのと同じである。 両性花は一つの花で両方の機能を持ち、もっとも効率が良いように思われる。 しかし、自家受粉を防ぎ異なった遺伝子を持つ他の株の花粉を受精した方が、より強い子孫、より多様な遺伝子を持って多様な環境を生き抜く戦略を取っているのではと思われる。 雌雄異株の植物で身近なものには果物のキューイフルーツと原種であるサルナシ、香辛料に使われる小粒でもぴりっと辛いといわれるサンショ(山椒)、関東地方ではサカキに代わって神事に使われるヒサカキ(非榊)などがある。 また、神社や街路樹に植えられ、東京都のシンボルマークとなっているイチョウも雌雄異株の植物である。 最近では街路樹にはイチョウの実のギンナンが路上に落ちて臭くて汚いとの理由で、雄の株を選んで植えられている。
雌雄異種の代表、イチョウ(銀杏)
秋も深まり、山々が色付く頃、葉っぱが黄色い樹木がイチョウである。
その木の実を【ぎんなん】(銀杏)といって、木には、雄(オス)と雌(メス)があり、雄の木には実がならない。
街路樹に植えられているところも少なくないが、実には独特の強烈なにおいがあるので 雄の木を用いているところが多いようである。
「イチョウの木なのに、何故か実が付かない。」という経験のあるひともいると思うが それは、きっと雄の木だからである。
69
雄の木と雌の木の違いは、葉に切り込みが入っているのが雄の木で、入っていないのが雌の木だという説や、雄の木の枝は立ち、雌の木の枝は横に広がるという説があるが、確かなところは分かっていないのが現状のようだ。、花や果実で識別するのが良いだろう。
街路だけではなく、神社の境内とか、結構身近にある木なので、機会があったらよく観察してみよう。
ギンコライドといわれているイチョウ葉が持つ独自の成分は脳の働きをよくすることもあり、イチョウ葉は健康食品としても医薬品としても効果があるとされている。
秋、飯山地域では藤ノ木学校跡のイチョウが銀杏を多くつけている。
飯山神戸の大いちょうは、市の指定木。
雌雄同種(しゆうどうしゅ)
雄花と雌花が同じ株につく植物。
雌雄同種の代表、カラマツ、クリ
カラマツ(マツ科カラマツ属).
唐松、落葉松。別名はラクヨウショウ、フジマツ。雌雄同株の落葉高木。日本特産の秋に黄変し、落葉する裸子植物である。樹脂からテレピン油がとれるそうだ。東北や信州では山によく生えているが、西日本でも高い山に登れば林がある。人の手で造林されているところもある。
クリ(ブナ科クリ属)
山地に生える雌雄同株の落葉高木(15〜20m)。樹皮は少し褐色を帯びた灰色で縦に裂け目がある。果樹(き)として栽培されるほか、庭木や彫刻材にも使用されます。品種は多数あり、国レベルの育種もされている。
春に花が咲き、充実した枝の雄花の基部に雌花がある。その年の秋に長いトゲのある殻斗に包まれた堅果が実る。
人より複雑・・・植物の男と女の関係
70
植物界では
◇ 1つの個体に両性花を付ける両全株・・・・・・72%
◇ 〃 雄花・雌花を付ける雌雄同株・・・・5%
◇ 別々の個体に雄花・雌花を付ける雌雄異株・・・・4%
◇ その他様々な性型に分類・・・・・・・・・・19%
カエデやテンナンショウの仲間では、性転換の現象が見られ、一生の内、雄から雌、雌から雄への性転換がある。
雌雄異株の植物
草本植物に少なく木本植物に多い。温帯より熱帯に多く、しかも高木で20〜30%と多い。
クワ・イチョウ・ソテツ・イチイ・イヌマキ・ネズ・ヤナギ・ポプラ・ホップ・ホウレンソウ・アスパラガス・キウイフルーツ・パパイヤ・ナツメヤシ
・イチョウの果実は、腐敗すると悪臭を放つため、街路樹としては雄株が望ましいが、ギンナンの生産には雄株は必要最小限の個体があれば十分である。
・アスパラガスの雄株は雌株よりも収量が多く、食卓に並ぶ物は全て雄株である。
雄株だけを栽培する理由は、雌のアスパラガスは、秋になると実をたくさん作るために体力を消耗して翌年の春に元気な芽(食用部分)が出てこないからである。
植物も近親結婚を避けている
人間の社会では法律で近親結婚を避けているが、その目的は、子孫に良くない影響が現れることを防ぐ為であるが、植物の場合も色々の方法で近親間で子孫をつくることをさけている。
雌雄異熟(雌しべと雄しべの成熟をずらす)
自家不和合(雌しべに近親の花粉がついても、その花粉が生長しなければ近親結婚は防げる)
ナシ、リンゴ,モモ等の果樹は、接ぎ木で増やすので同じ品種の花の雌しべと花粉は全て近親関係にあるので自分の花の花粉は勿論、他の株の花粉でも種子は作れない。
種子や果実を作るには、別の品種の花の花粉が雌しべに付かなければならない。
庭に果樹を1本だけ植えた場合に花が咲きながら実が出来ないのはそのためである。
71
1つの花の中に雄しべが沢山あるのは何故か
植物は動物のように自由に移動することが出来ないので、植物が生殖をするのは容易なことではない。
植物は雄性の花粉を昆虫や風(虫媒花・風媒花)の助けを受けて、雄しべから雌しべに移しているが、虫も風も自分の意志で花粉を運んでいないので、花粉が雌しべに付着する確立は低く、そのために植物は、大量の花粉を生産せねばならない。
雄しべが沢山ある理由の1つはここにある。
ラフレシアは、生物の中で最も進化の進んだ生物
ラフレシアは、スマトラ島のジャングルの中に自生する植物で、大木の根に寄生しながら直径1mもある大きな花を咲かせることで有名。茎も葉もないので光合成はしない。
寄生植物は、他の植物の体に寄生しながらも茎や葉を持っているのが普通である(例えばヤドリギ)が、ラフレシアは始めから茎も葉もなく大きな花が直接仮根のようなものを大木の根の中に伸ばし、その木から養分を吸い取っている不思議な植物です。どうしても自分でしなければならない生殖(子孫を残すこと)の仕事だけを自分でして、他の仕事は全てジャングルの中の大木に任せてセックスだけに専念している生物であり、少なくとも高等動物には例がないと言える。
ちょっと一休み!ことわざ(諺)の意味を知る
◆濡れてで粟(泡)
粟の中に濡れた手を入れただけで粟粒がたくさん付くこと。
つまり、「努力も苦労もせずに利益を得ること」を言う。
五穀とは、米、麦、粟、黍(キビ)、豆、稗(ヒエ)である。
◆真綿で首を絞める
真綿のように軟らかな物を使って「ソット」首を絞めること。
つまり、「遠回しに責めたり、痛めつけたりすること」を言う。
72
真綿とは、屑繭を引き伸ばして作った綿であり、動物性の綿である。
繭とは、完全変態をする昆虫の幼虫が繊維を吐き出して作る「サナギ」になるための覆い。
カイコの繭は、生糸の原料である。
◆閑古鳥(カンコドリ)が鳴く
カッコウ(郭公)鳴く静かな自然の風景から転じて、「商売がはやらない様子や人の居ない寂しい様子」のことを言う。
カッコウ(ホトトギス科)
夏鳥で雄が、「カッコウ」「カッコウ」と鳴く。
胸に細かい横縞のある全長35cm位の大きさの鳥で、「托卵」して他の鳥(オオヨシキリ、モズ等)に雛を育てさせる。
ホトトギスとカッコウ
カッコウの仲間(ホトトギス科・・カッコウ、ホトトギス、ジュウイチ、ツツドリ)は、どの種も自分で巣を作らず他の鳥の巣にその卵を産みつけて育ててもらのである。 これを托卵と言い育ての親を仮親と言う。仮親(托卵の相手)が卵を産み始めるとその巣から卵の一つをくわえ出し、自分の卵を一つ産み落とす。 主な托卵相手 カッコウ…………モズ、ホオジロ、オオヨシキリ、ノビタキ、アオジ、ウグイスなど。 ホトトギス………ウグイス、ミソサザイなど。
カッコウ(郭公・閑古鳥)
ホトトギス科
ホトトギス(時鳥)
ホトトギス科
学名
Cuculus canorus
美しい声のカッコウ
Cuculus poliocephalas
灰色の頭をしたカッコウ
語源
「カッコウ カッコウ」と鳴く声からついた。英国でもこの鳥はクックウ、フランスではククウ、ドイツではククックとい
「ホットツホトトキ」という声がホトトギスになり、鳥を意味するスがついた。
異名は妹背鳥、早苗鳥、ほとつき、ほ
73
う。異名は閑古鳥 種まき鳥 呼子鳥 かっぽう鳥 苗代鳥。
うちょうかけたか、まめまきどり、おやふこうどり、
ほんぞんどり、沓手鳥(くってどり)
特徴
さわやかな初夏の高原にぴったりの鳥。顔から胸と体の上面は青灰色で、下面は白く、黒い横縞がある。翼と尾が長い。
「特許許可局」「てっぺんかけたか」などとこえるような大きな声で鳴く。腹の横縞は太くて間隔が広い。岡山県と香川県の県鳥。
大きさ
L35・W61 はとより大きい
L28・W46 ムクドリより大きい
渡り
夏鳥
夏鳥
鳴き声
カッコウ カッコウ
キョツキョツ キョキョキョ キョ
生活
カッコウの仲間は自分では巣を作らず他の鳥の巣に卵を産みこむ。
「托卵」(たくらん)といい、相手の鳥はオオヨシキリ、モズ、ホオジロなど。
丘陵や山などのささやぶがある林に多くすむ。この環境に多くいるウグイスの巣に托卵をする。
ホトトギスは夜もよく鳴く。
ことわざ
閑古鳥が鳴く―客がこなく商売がはやらないさま、びんぼうでピイピイしているさま。
あの声でとかげ食らうかホトトギス―物事は外見と大きく違う場合が多いたとえ
渡り鳥
日本で見られる鳥の多くも季節によって移動をしている。移動する距離は、山地と平地、北海道と本州、日本と海外等様々であるが、このうち日本と海外とを移動するもののことを「渡り鳥」と呼び、特に夏に日本に訪れる鳥を「夏鳥」、冬に訪れる鳥を「冬鳥」、渡りの途中で日本に立ち寄る鳥を「旅鳥」と呼んでいる。
鳥はどうして渡るのか
74
寒い時期には暖かい場所へ、雨の降らない時期には雨の多い場所へ、子育てをする時期には餌が豊富な場所へ、様々な理由から鳥たちは渡りをする。日本で見られる渡り鳥は寒さを避けるためと子育てのために渡りをする鳥たちである。
日本で見られる水鳥たちの多くは夏の間シベリアで子供を育て、寒い冬を日本や東南アジア、オーストラリアなどで過ごす。冬に凍りついてしまうシベリアも、夏の間は広大な湿原地帯が広がり、水鳥たちの餌になる植物や小動物が大量に発生するのである。
渡りのメカニズム
渡り鳥はなぜ正確に、遠く離れた目的地にたどり着く事が出来るのだろうか。
渡り鳥が方向を知るには幾つかの仕組みが有ることが分かってきている。
太陽を見て方向を知る:太陽コンパス
昼間に渡りをする鳥は、太陽と自分のいる位置を比較して、渡りの方向を判定することが出来る。
星を見て方向を知る:星コンパス
夜間に渡りをする鳥は、北極星とその周辺にある星座を手がかりに、渡りの方向を判定することができる。
曇りの日のように、天体コンパスが使えない時もあるが、風、地磁気、音波、地形など様々な方法を総動員して、渡りの方向を判定する。
渡り性水鳥は北の繁殖地から南の越冬地まで、渡りの中継地を含め、点々と連なる生息地のすべてを必要とする。これらの場所は湿原や干潟等の湿地であるが、人間による土地開発のために世界の湿地は急速に失われつつあり、渡り性水鳥たちは深刻な危機に直面しているのである。
75